社長コラム

【月刊あめのもり】2020年4月「9枚にプラスして、また9枚。2軍の発表です!」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2020.04.30

例年と比べても、退屈感が際立つGWが始まっております。
天気がよいのが、余計に辛いですね。遊びに行きたい気持ちをグッと抑え、
われわれ家族もずっとおうち時間です。

では月1コラム、行きましょう。

スタッフページ、公開しました!

今日は前回とテーマがかぶってしまいますが、また音楽ネタです。

まずはこちらこちらを。


STAFF001 / 雨森武志

先日公開したスタッフページです。
我ながら、企業サイトのスタッフを紹介するページで、こんなに派手なもの、あまり見たことがないですよね。

ただ、以下の2つは自社サイトをつくる前から、決めていました。

メディアっぽく展開していく。
スタッフページをめちゃめちゃリッチに。

その想定通り、とても濃い内容のページになってとても満足しています。

これは、僕が目立ちたがり屋なわけでも、出たがりなわけでもなくて、
やはり会社において一番大切なのは、人だと思っていて、
その哲学をサイト上でも表現しなければならないという思いからです。

そして、このページの中には「雨森武志をつくった9枚」というコンテンツがあります。

雨森武志をつくった9枚

NEVERMIND / NIRVANA

The Same / 山嵐

Around the fur / Deftones

無罪モラトリアム / 椎名林檎

KID A / Radiohead

宇宙 日本 世田谷 / フィッシュマンズ

unknown possibility vol.2 / FUMIYA TANAKA

Sell Our Soul / THA BLUE HERB

TNT / Tortoise

こんなセレクト。興味がある方は、改めて読んでみてください。

小説でも映画でもよかったんですが、今回は3人とも音楽を切り口に
自分の血となり、骨となった作品を、それぞれの言葉で紹介しました。

僕のセレクトは、「好き」っていう軸ではなく、あくまで「自分を形成した」みたいなニュアンス。
あとは、できれば共感できた人が多い方が楽しいので、
あまりマイナーな作品は選ばない」というしばりを設けました。

今日は、ここに漏れた「2軍」の9枚を紹介するということで、進めましょう。ではさっそく!

2軍 – 1 LEAN INTO IT / MR.BIG

姉の影響で、小学校の高学年あたりからいわゆる普通のJ-POPを聞いていた僕が、
その後長く、洋楽にはまるきっかけをつくってくれた1枚です。

特に感銘を受けたのは、全米ナンバーワンとなった「To be with you」。

中学2年生のとき、コラム枠で僕が書いている『自分40年史』にも出てきたユキという友達が、
その曲をアコースティックギターを弾きながら歌っていたことで、知りました。

日本でもCMなどでおなじみの曲ですね。
僕は、今でも歌詞カードをみずとも、ぜんぶ歌えるんじゃないかな。

今となっては、正直、聞くに堪えないレベルにダサいですけどね……(ファンの人、すいません)

2軍 – 2 PHYSICAL GRAFFITI / LED ZEPPELIN

おそらく、知り合いからは、
あめやん(僕のあだ名)=ツェッペリンフリーク」と思われているんじゃないでしょうか。
やはりドラムをやっていたので、このバンドは外せないですよね。

ただ、実は一番好きなのは、ジョン・ポール・ジョーンズのベースなんです。

ちなみにツェッペリンも、ユキに教えてもらった気がします。

ツェッペリンは、アルバム単位で考えても、どれも捨てがたいほどに完成度が高いのですが、
“濃度”みたいな観点で、『フィジカル・グラフィティ』を選びました。

1曲を貼るのであれば、やはりこれでしょう。「カシミール」です。

2軍 – 3 The Same / Ben Folds Five

高校2年のときに、ぜんぜん話したことのない地味なクラスメイトに
「アメノモリくんって、洋楽くわしいよね? これ、知ってる?」と渡されたことで知ったのが、これ。

後から知ったのですが、我々世代には外せないオバケヒットドラマ『ロングバケーション』で
フィーチャーされたことで、本国より日本で人気になったようですね。

ギターのいない3人組であるこのバンドは、ピアノがぐんぐんひっぱっていくっていう、
それまで僕が聞いていた音楽とはまったく違うスタイル。

当時の僕は、趣味だったピアノを毎日のように弾いていたのですが、
クラシックをやっていたわけではないので、弾いていたのは、
エアロスミスやガンズ・アンド・ローゼズといったロックバンドのバラード曲ばかり。
「それだけだと退屈だな」、「もっとジャズ的なアプローチでも弾きたいな」なんて感じていた頃。

そんな中で、ちょうどベン・フォールズ・ファイブを知って、すぐにビクンビクン! とハマり、
千里中央という駅のヤマハでピアノスコアを買って、めちゃめちゃ練習していました。

ちなみに僕が通っていた高校には、
体育館とはまた別に「講堂」と呼ばれる式典用の建物があって、
そこの舞台にはグランドピアノがありました。

めちゃめちゃ不真面目な生徒だった僕は、たびたび授業をサボっては、
鍵の空いた窓から講堂に忍び込み、ベン・フォールズ・ファイブの曲を弾いていた記憶があります。

一度、昼休みに同じように講堂で鍵盤を叩いていると、
まったく知らない女の子が興奮した様子で講堂に入ってきて
「それ、ベン・フォールズ・ファイブですよね! 私も好きなんです!」なんて声をかけられたりもしたな。
なんだか学園ドラマみたい!

貼るのは、2回目のサビの後の超絶ピアノソロが聴ける「One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces」。
そこのベースもクッソかっこいいので、合わせて耳をかたむけてください。

2軍 – 4 RORO / BOAT

大学の時にやっていたバンドでは、メンバーの誕生日に
CDを1枚プレゼントするっていう決まりがありました。

おそらく僕が21歳を迎える誕生日に、
ユウタというベースからはエイジアン・ダブ・ファウンデーションの『Community Music』を、
ミックンというギターからはアラブ・ストラップの『THE RED THREAD』を、
そしてゲンキというもうひとりのギターからこれをもらいました。

ジャンルでいうと、ポップスなんですが、わりとポストロックとか、音響よりで、
このアルバムでは、半分くらいがボーカルなしのインスト。
長尺の曲が多いのですが、どれも音の鳴りが最高で、ドラマチックな展開に、まったく飽きずに聞けます。

いや〜、これ2軍じゃないな。ミスった。割と最高傑作と呼べると思います。
人生ベスト5くらいに入るかも。

ちなみに、2007年に出た木村カエラの『Scratch』の1曲目「L.drunk」は、
Boatの主要メンバーであるAxSxE氏(その後NATSUMENでも活躍)の曲。

2回目のサビの後のギターの歪み方が、思いっきりBoatサウンドで、往年のBoatファンには、たまらなかったですね。
その「L.drunk」は、toeの柏倉さんがドラムを叩いていて、そういう意味でも豪華ですね!

ここでは、一番すきな「Tuesday」を貼っておきましょう。

ついでに「L.drunk」も。途中のギターの音を! あ〜、泣けちゃう!!
(この映像の、本当に最後のところ)

2軍 – 5 water contract / yet

さあ、このバンドは外せません。
大学生の時にやっていた最後のバンドの対バンで知った大阪のインディーズバンドです。

当然、無名のバンドなのですが、
僕の中では、大げさではなく世界で1番かっこいいバンドのひとつと思っています。

初めてみたのは、京都ウーピーズというライブハウス。

4人のメンバーがドラムのもとに集まり、人差し指を上げた状態で手を寄せ合い、
確認し合うように、それぞれが小さな声で「俺らがいちばんカッコいい」とつぶやいた後、
ライブが始まったのをよく覚えています。
ウーピーズという箱のステージと客席が異常に近いから聞こえたんでしょうね。

そのイベントは、客はおそらく20人くらいしかいなかったのですが、
その衝撃は、今でも忘れません。そこから、何度もライブに行きました。もう、ファンですよね。

ギターのJくんは、ひとつ下。ボーカルのヒロくんは同い年。
ベースのタノウエさんとドラムのコジマさんは、もうちょっと年上。
レベルは違いすぎたのですが、割と同じような音楽をやっていたので、
その後も、何度も対バンをさせてもらって、メンバーとも少し仲良くなりました。

とにかく、曲のクオリテイは半端なくて、
にも関わらず、当然さほど人気のバンドだったわけでもなく、
(知っている人は、みんな「yetはヤバい」って言ってましたが……)
僕がyetを知ってから1年ほどで、ひっそりと解散していきました。

その事実が、僕を動かします。
つまりは、めちゃめちゃいい音楽をやっているにも関わらず、
正当な評価を受けていないバンドがいるという事実。

それを打破したい思いで、23歳の僕は、ひとつのメディアをつくることになります。
「コンシャス」というWebマガジンです。

今、こうやってメディアに関わり、
こういう仕事をしているきっかけになったバンドでもあるということです。

デモ音源、今でもたまに聞きますが、やっぱりすごいんですよね。
興味がある人はお貸しします。言ってください。

2軍 – 6 TEAM ROCK / くるり

もう疲れてきました……笑
ここからサラッといきます。

これは大学時代ですね。
当時の僕は『SNOOZER』という今は廃刊になってしまった音楽雑誌に夢中になり、
その編集長である田中宗一郎というライターが、雑誌の中核として扱っていたのが、
レディオヘッドとくるりだった気がします。

割と素朴な歌(メンバーの顔も素朴)に、ハイセンスなトラック。
普遍性を求めていたロックバンドが、テクノロジーを得て、
可能性を追求した時の凄み、そして音楽的な強度。
レディオヘッドにもくるりにも、そういったものを感じます。

当時は、日本のバンドで一番スキだったんじゃないかな。

ここでは名曲、「バラの花」を貼っておきましょう。

2軍 – 7 Endtroducing / DJ Shadow

例のスタッフページの『山嵐』のところでも書きましたが、
理由はよく分からないですが、若い頃の僕は「ヒップホップ=ダサい」と思っていたんですね。

あと「ヒップホップ=ラップ」とも思っていました。
いわゆる「ヨウ! ヨウ!」「チェケラ!」みたいなやつです。ダサいですよね。

このアルバムは、そういったバカバカしい偏見みたいなものをなくしてくれた数枚の中のひとつですね。

ここで貼るのは、「Changeling (Transmission 1)」。
ドラムの音がやべぇ! と思ったら、ベースもやべぇ! 
これ、まじやべぇ!! ヨウ! ヨウ! チェケラ!(ナゲヤリ)

2軍 – 8 My Way / AKUFEN

ハウス部門から1枚。
これもずっぽり抜けられないくらいに、どハマりましたね。

当時「ボーカルチョップ」なんて言われた上音(うわおと)に注目されがちですが、
AKUFENのかっこよさは、なんといってもうねうねのベースと、中音域が強調された丸いキック。

そういえば、この『My Way』で、時代の寵児的な扱いを受けた後、
世界中で、AKUFENっぽいのたくさん出ましたよね。

いちばん覚えているのは、m-flo LOVE 坂本龍一の「I WANNA BE DOWN」。
「本家より、それっぽい」っていう典型的な1曲ですね。

ちなみに、2004年、大阪から軽自動車をかっ飛ばして参戦した
『sonarsound tokyo 2004 @ 恵比寿ガーデンプレイス』でのAKUFENのプレイで、
途中、おもむろにURの「Hi-Tech Jazz」が流れて、
「それは反則やろ」なんて言いながら踊り狂ったのもいい思い出です。

貼るのは代表曲の「deck the house」。これもベース、ヤバいですよ。

ちなみにこれがm-flo。おい、まんまやないか。

2軍 – 9 Lightweight Heavy / Fat Jon The Ample Soul Physician

はい、最後です。FIVEDEEZでの活動を中心に、
無数の名義を持つファット・ジョンの僕の中での最高傑作です。

このアルバムは、全体としてドラムがめちゃめちゃよくて、
ドラマーでもない人に、こんな秀逸なリズムを組まれると、
ドラムを本職としていた僕としては、立つ瀬がないなと、凹まされた1枚です。

そのファット・ジョン。僕は2回会っていて、1回目は取材で、
2回目はその1年ほど後に、主催していたイベントにFIVEDEEZが出てくれた時。

楽屋で挨拶をする際、拙い英語で「あなたに1度あったことがあります」と伝えると、
「覚えているよ。少し前、この近くのカフェでインタビューしたよね!」
「僕がサインをしたレコードをまだ持っているかい?」と
優しい笑顔を見せてくれました。

貼るのは1曲目「Talk To Me」。
この音数で、この完成度。もう、これが答えでしょ。音楽の。

おうち時間を楽しみましょう!

はあ、疲れた。
誰得の自分語り満載で、すいません。
もう推敲するガッツがないので、さらっと公開しちゃいます。
誤字脱字などあれば、教えてください!

改めて、「雨森武志をつくった9枚」2軍のリストは以下。

雨森武志をつくった9枚(2軍)

LEAN INTO IT / MR.BIG

PHYSICAL GRAFFITI / LED ZEPPELIN

The Same / Ben Folds Five

RORO / BOAT

water contract / yet

TEAM ROCK / くるり

Endtroducing / DJ Shadow

My Way / AKUFEN

Lightweight Heavy / Fat Jon The Ample Soul Physician

微力ながら……、と思い、YOUTUBEも貼っております。
みなさんのおうち時間の充実に貢献できれば幸いです。

ではまた来月。

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。