社長コラム

【月刊あめのもり】2020年8月「TLF公式サイトが素晴らしすぎる2個の理由。」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2020.08.31

今回の月イチコラムは、
少し前に書いたコラムと似たタイトルとなりました。
先週の金曜に、また弊社のワークスが公開となっております。

今回は、国内最大規模の『革』に関する展示会である
『東京レザーフェア(=TLF)』の公式サイトです。

おそらく200ページを超える(もっとかな?)大規模サイトのリニューアルに携わりました。

このサイトのよさを、また主観的に振り返っていきましょう!


TLF 公式サイト

TLF公式サイトが素晴らしすぎる1つ目の理由:サイトの設計やデザインがよい。

前回の『O-DRIVE』の時と同じですね……。いやはや、失礼しました。
しかしこれはやはり、我々アイタイスが作ったので当たり前です。
今回も照れることなく、そして謙遜することなく自負してしておきましょうね。

TLF公式サイトが素晴らしすぎる2つ目の理由:西村ディレクションでつくられた。

完全に内々の話ではありますが、今回これが素晴らしい。

というのも、このプロジェクト、僕はほとんど関与しておりません。
(提案はガッツリとやりましたけど……)
都度都度で品質管理やアドバイスはやっていましたが、
制作がスタートしてから頭をとったのは弊社の西村です。

彼が僕の下で働くようになって約3年半。
もちろん制作の指揮をとるのは初めてではないですが、
ここまでの大規模サイトの改修はこれまでなかったと思います。

ページ数が多く、コンテンツもバラエティに富んでいるので、難航した部分もあると思いますが、
優秀なデザイナー・エンジニアの協力もあって、きっちりとスケジュール通りに公開となりました。

この規模のサイトのディレクションができれば、制作はもう大丈夫でしょう。
今後も、どんどん彼に仕事を任せて、僕は現場から遠ざかって行きたいと思います(現実にはまた当分難しいでしょうけど)

彼にとっても自信につながったのであれば嬉しいです。
ベタな言い回しですが、部下が成長し、活躍することほど嬉しいことはないですね。

TLF公式サイトが素晴らしすぎる3つ目の理由:加盟各社の強みが明文化されている。

さて、中身にも触れておきましょう(っていうか、普通はそれがメインだろ……)

このサイトのハイライトとも言えるのが、『東京レザーフェア』に出展している
50を超える企業・団体の強みや独自性、組織としてのルーツなどが紹介されてること。

しかもそれらの取材と撮影のすべてを、昨年、私と西村で行いました。
なにせ50社以上ありますからね。その取材だけで半年以上かかりました。


加盟企業・団体

それをまとめた『ブランドブック』と呼ばれる紙のツールが昨年発行されたのですが、
そのデータをオンライン上でも閲覧できるようにし、なおかつ、
加盟各社がどんどんと情報発信していけるためのプラットフォームづくりを、というのが
今回のミッションでした。

そもそもこの仕事をする中で僕も知ったのですが、
革にまつわる産業というのは、ここ30年ほどで、右肩下がりの業界となっています。

よく考えると、そうですよね。
我々のお父さん世代は、革の靴と革のカバンで会社に行くのが当たり前。
多くの女性が履いていたヒールやパンプスなども、レザーを使ったものが多かったと思います。

そんな時代の要請を受けながら、足元から日本経済の成長を支え、
浅草の、そして日本の靴産業はどんどんと巨大なものへと育っていったわけです。
とにかく、作れば売れる。そんな時もあったようですね。

ところが今はどうでしょう。スーツにスニーカーもありだし、
出勤時にスーツを着ないことだってまったく珍しくない。
カバンだって、革以外の素材のものを使っている人の方がむしろ多いんじゃないですか?

それ自体は時代の流れなので、悪く言うつもりはまったくありません。
しかし確実に言えることは、その中にいるプレイヤーたちは、当時と同じように、
大きなサプライチェーンの中で、右から来たものを左に流していくだけでは完全に淘汰されてしまうということ。

したがって、自分たちの強みに意識的になり、それを言語化し、
さらにそれらを、評価してもらうべきターゲットへと届けるために正しく発信するという、
“選んでもらう”ための活動、つまりブランディングを迫られるようになって久しいわけです。

とはいえ、その時代の変化になかなかついていけない人たちが数多くいるのも事実。

そもそも、そんな厳しい状況で日々の業務に追われる中、
「自身の強みは?」とか「Webサイトを活性化させて情報発信を!」なんて言われても、
手が回らないよ! という業者の方も多いでしょう。

そこで『東京レザーフェア』を主催する『協同組合資材連』が立ち上がったわけです。
それをお手伝いさせてもらったのが、我々アイタイス。

「加盟企業の前に、まずは資材連自体の社会的な使命や存在意義を明確にしましょう」という
僕の提案が通り、プロジェクトがスタートしたのがもう2年ほど前。
そこから紙の冊子ができて、今回はWebメディアができました。

クリエイティブの前の段階、つまりブランド構築のフェーズからお手伝いができて、
かつ、紙もWEBもできる。ちなみに今はSNSの運用もお手伝いさせてもらっています。
そういう意味では、我々アイタイスの強みも存分に活かせたプロジェクトだったと思います。

今回の取組を通して、加盟各社の方々が自社のブランド構築ということに
意識的になれたのであれば幸いです。


TLF 公式サイト

はい、今日はここまで。

ありがとうございます。
今回の「素晴らしさ」は、1つ目と2つ目を「0.5」扱いとして、「2個」にしておきます。
まあ、そこに関してはもう何個でもいいですよね(笑)

さて、実はこのお仕事を通して知った事実がいくつかあります。

まずは浅草が『革の街』、『靴の街』であるということ。
恥ずかしながら、まったく知りませんでした。

ちなみに今年2020年は、靴産業150周年の年でもあります。
コチラのページで、浅草周辺の革にまつわる歴史が簡単に紹介されていますよ。
(このページの情報収集も大変だった……苦笑)

そしてもう一つは、世の中に流通してしているすべての動物の革(ファッション、家具、車のシート……など)は、
食用に使われたお肉のまわりについていたものを、捨てずに再利用されたものであり、
つまり革製品を使うということ自体が、とてもエコロジカルな選択であるということです。

革をとることを目的に殺される動物は世界に1匹もいません。
すべての革は、お肉を食べたあとの副産物。使わない方がもったいないわけです。
それは牛や豚だけではありません。馬、羊、ヤギ、ヘビ、ワニ、オーストリッチ(ダチョウ)、エイ……。
そのすべてが、人間がどこかで食べているから、革が手に入っている。
意外と知られていない事実ですよね? そんなことはないのかな?

だから多くの革業者の方々が、
「お肉を食べるために奪われる尊い命を、すべて使い切るために」という
大きな使命を感じながら、それぞれのお仕事にあたっています。

そういった観点からも、より多くの人に革のことが伝わるといいですね。
我々アイタイスとしても、今後も東京レザーフェアをさまざまな形で応援していくことになると思います。

ちなみに次回の東京レザーフェアは12月に開催……されるか……、まだ分かりません。

というのも、過去50年にわたって年に2回開催されてきた展示会なのですが、
今年5月に開催予定だった102回目は、新型コロナウイルスの影響で中止。
12月もどうなるか、まだ決まっていません。

開催情報は、公開されたばかりのTLFの公式サイトで、
9月中には明かされると思いますので、みなさん、そちらもチェックしてしてください。

ではまた来月。

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。

革の事典 ―レザークラフトに役立つ―

4,290(税込)

レビュー

“皮革”という素材を様々な角度から解説する書籍です。初心者にも分かりやすい文章、豊富な資料写真で、あなたの皮革の知識を大きく深く広げます。