新人ライター奮闘中

【レビュ・トレ】2本目 小説『慟哭』

塩浦教平

塩浦教平

UPDATE 2020.03.03

こんにちは。アイタイスの新人・塩浦です。このたび、一人前のライターになるための修行として、映画や小説のレビューを書いていくことにしました。目標は、2020年内に100本! もし気になる作品があれば、みなさんもぜひチェックしてみてくださいね。

悲しく、切ない、1人の男の結末。

今回は、小説家・貫井徳郎さんのデビュー作『慟哭』を紹介しましょう。彼の作品は、2時間ドラマの原作としてもよく取り上げられますが、処女作から話題を集めていました。第4回鮎川哲也賞の最終候補になるや、またたく間に50万部超えのヒットを記録したのです。

僕はミステリー小説の初心者なので、トリックを紐解いたり、推理しながら読み進めたりすることができません。どちらかというと、登場人物に感情移入し、一緒にストーリーを展開させていく方が好きなんです。なので、レビューも素人目線。ミステリーフリークの方は、温かい目で見守ってください!

さて、本作品は、連続幼女誘拐事件を捜査する警察を軸に、マスコミや家族、新興宗教などが複雑に絡み合う、いわゆる社会派作品に位置づけられると思います。

読み始めから、ずっと不思議な気分でした。「これは伏線?」とか「なんか怪しいな」とか、難しく考えすぎていたのかもしれません。
主人公である、捜査一課の佐伯の立場、そして、そこに降りかかるさまざまな思惑。その一つひとつが、実に生々しい描写で、現実で起こっている出来事のように感じさせます。

物語の中盤から、少しずつ悪い結末に向かっていると感じながらも、ページをめくる手が止まりません。
自分の予想が外れていてくれ」と願いながらも、そのドキドキを楽しみながら、一気に読み進めていました。

読後の感想をひと言で表すなら“後味、最悪”です。前評判として、そういった作品であることは知っていましたが、想像を超えるショックを受けています。1冊を通して膨れ上がった心のモヤモヤは、どうすればいいのでしょうか? ミステリーフリークの皆様、教えてください!!

しかし、これこそが、貫井徳郎の原点であり、真骨頂なのでしょう。日常の中にある理不尽なことと、ごく普通の生活を送る人間。その当たり前な組み合わせでさえ、ときに狂気への糧となってしまうのです。ありふれた物事に焦点をあて、そこに読者の目を向けさせる。「自分は大丈夫」「自分には遠い世界の話」と思っている人ほど、心に強烈な印象を与える作品なのかもしれません。

後味は最悪だったけど、他の作品が読みたくてたまらない……。これが推理小説の面白さなんですかね。
もし気になった方がいたら、ぜひ読んでみてください。
では、また次回!

作品概要

タイトル:慟哭

著者:貫井徳郎

ジャンル:ミステリー