みなさん、こんにちは。アイタイスの雨森です。
誰にとっても有用ではないこのコラム(爆)、今年も変わらずやっていきましょう。もちろん公開前日の夜中に、涙目になりながらなんとか書いている事実も、この数年変わっておりません。
さて今日は、先ほど配信されたメルマガにも書いた通り、20年ほど前の思い出話です。
それは1月1日の未明に起こりました。
おそらく2004年か、2005年の話だと思います。当時の僕は大学を卒業した後、就職をせず、就職活動すらせずに、志を同じくする数名の仲間と、ワンルームマンションの一室を借り、そこを事務所にして、“起業まがい”なことをしていました。実際はさほど稼げていなかったので、起業とはいえないレベルのものでしたが……。
フリーペーパーの編集〜発行や、音楽系メディアの運営、クラブイベントの主催、そしてそれらに付随する種々の業務が主な事業。そのあたりの話は、過去のこちらのコラムでも少しだけ出てきます。
【月刊あめのもり】2023年11月「23歳の自分へ。あれから20年。今も変わらずやってるよ。」
話を本筋に進めます。クラブイベントを主催していたこともあり(“ナンパさ”のかけらもない、ガチの音楽好きだけが集まるようなディープなイベントをずっとやっていました)、その頃の僕たちは、大晦日の夜、その時にホームグランドにしていたクラブでカウントダウンをして過ごすのが常でした。
その年の大晦日も、大阪の梅田にある『NOON』というクラブでカウントダウンをし、無事に1月1月になり、すこし時間が経った後、帰宅することになりました。僕は当時、実家に住んでいたこともあり、その日の移動手段は車(帰りは完全に飲酒運転ですね……。まぁ、もう時効でしょう・爆)。家が同じ方向の仲間を乗せ、梅田から新御堂という道を走らせ、15分ほどで実家のある付近まで着きました。
最後まで乗っていた友人の家の近くまで来た時、ふと歩道に目をやると2人の若い男性がタクシーを止めようとするような仕草で、今でいう「いいね」ボタンの手を上げていました。そう、ヒッチハイクです。
その2人を見て、何を感じたかは覚えていないのですが、僕はすぐに車を止めて「どこまで行きたいの?」と問います。すると彼らは「できれば梅田まで!」と、つい先ほどまで僕たちがいた場所を指定。道が混んでいなければ15分ほどの道のりなので、彼らのオファーに了承し、後部座敷に2人を乗せて、僕の友人を含む4人旅が始まりました。その時点で1月1日の2時くらいだったと思います。
盛り上がった車内と、静かな帰路。
話を聞くと、その2人は建築系の専門学校生。もはやおぼろげではありますが、パーマを当てていて、来ている洋服もおしゃれなモテそうな男の子だったが記憶あります。
ちょうどその時、助手席に乗っている僕の友人が設計事務所に努めていたこともあり「建築って儲かるんですか?」「ん〜、設けたいなら、他の仕事の方がいいかもね〜」「やっぱりそうですよね〜」なんて笑い話をしながら、車内は盛り上がっていたと思います。
そんな4人旅は、たった15分ほどで終了。少し前までカウントダウンで盛り上がっていた梅田に戻ってくると、深々と礼儀正しいお辞儀をして2人は車を降りていきます。僕が「こんな時間に、この後どうするの?」と聞くと、「またヒッチハイクをして、特に目的はないけど、南港まで行きたいです!」と笑っていました。
たったそれだけの出来事です。しかしこの20分くらいのことはなぜか今でも僕の心に刻まれています。大晦日にヒッチハイクで、目的もなく動いている彼らのハチャメチャなパワーというか、若いが故の自由な感じというか(といっても、僕たちもその時はまだ24歳とかでしたが)。
あの2人と比べて、自分たちはどうかな。他とは違う“トガッた”生き方をしたいが故に就職もせずに自分らしい道を模索する生き方を選択しているのに、気づけば型にハマっていないか? 自分たちでお金を稼がないといけないこともあり、結局は他人にへつらっていないか? そんな感情に頭の中を支配されながら、また新御堂に乗り、友人と言葉少な目に帰った記憶があります。
ちなみにその友人とは、幸田泰尚くんという、僕の高校の同級生で、盟友とも言える存在です。今も世界中と飛び回りながら、彼らしく生きているようです。
話を現在に戻します。
さて、ヒッチハイクをしていた2人の圧倒的なパワーに自らを省みたあの日から約20年が経った今はどうでしょう。いちおう家庭を持ち、小さいながらひとつの組織を率いる立場となり、あの夜、車内で抱いた“守りに入っている引け目”みたいな感情以上に、枠にハマった生き方をしていないだろうか。そんなことをふと思います。
お仕事で付き合いのある経営者の多くは、まだまだ“攻めの姿勢”を忘れておらず、いつも刺激を受けてばかり。そんな中で僕は、常に日常的な業務に追われつつ、とはいえそれこそが、つまりクライアントの成長をサポートし、貢献することがお仕事の本質だと思っていることもあって、そちらばかりに気持ちも時間も取られてしまう毎日を送っています。
ただ本来はもう少し余白をつくり、他とは違う自分を際立たせるような新しい挑戦にも注力したいところ。頭では分かっているのですが、なかなか実行に移せず、今に至っております。
はい、今日はここまで。
事前に結論や話の流れを考えたりせず、気ままにキーボードを叩いた結果、期せずしてこんな内容のコラムになったのも、ひとつのきっかけです。2025年は、上手に時間の管理をし、通常の業務に加えて、20年前の自分に誇れるような生き方を目指すことをここで宣言して、今日は終わりにしましょう。
みなさん、僕に会うことがあったら、ぜひ「どう? 最近はちゃんと攻めに出てる??」と聞いてください。
ではまた。
Editor’sNote
五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。