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【月刊ニシ】2021年2月「取材も撮影も、素を引き出すのが一番むずかしい」

西村優祐

西村 勇祐

UPDATE 2021.02.17

メルマガの配信が決定したということはご存知の通りです。それは「絶対にコラムを書かなければならない」ということを意味します。
担当する原稿が何本もあるのに、それを無視して本コラムを書いているわけです。

「あれ、西村ってカメラマンじゃないの?」って思った方、いますか?
実は僕、雨森のもとで修行するコピーライターでもあるんです。専門学校で講師をしていたときも、カメラではなく文章の書き方を教えていました。

ということで、今回はライターと写真の話をしていきたいと思います。

普通の会話をしているように見える取材が、最高峰だと思う。

『コピーライター』という職業にどういったイメージを持っているでしょうか?
おそらく、もっとも多いのは”広告に使用するキャッチコピーを書く人”というものだと思います。

しかしアイタイスにおけるコピーライターは、それ以外の幅広い領域をカバーしているのです。
特に多いのは、取材をしたり、それをもとに記事を書いたりするというもの。案件数としては、こちらの方が圧倒的に多いですね。

日々膨大に抱えている原稿をどのように書き上げているかというと、3つの方法があります。

アイタイス流 取材・原稿作成パターン

パターン1:雨森が取材をして、雨森が原稿を書く。

パターン2:西村が取材をして、西村が初稿をつくり、雨森がチェック。

パターン3:雨森が取材をして、西村が初稿をつくり、雨森が仕上げる。

雨森以外が担当した原稿は、彼のチェックをなくして世の中(発注元にも)に出回ることはありません。
パターン3については、全案件のうち1割から、多くても2割と言ったところでしょうか。

今回はこの分業制コピーライティングについて、個人的な見解を書いていきます。
その理由は、分業をしたとしても、すべてを自分で担当した場合とほとんど変わらない感覚で取り組めるようになったから。
先に結論を言うと、それが出来るのは「雨森の取材音源」だからです。

年間で百本近い取材をしている雨森。

「取材」や「インタビュー」というのは、単なるQ&Aの繰り返しではありません
もちろん相手の話を必死になってメモを取る時間でもない。

細かい方法論や取材で目指す成果については、他の記事を参照してください。


急にはじまる特訓……。(1)

【月刊あめのもり】2020年11月「シカイ、シナイ? うん、シタイ!」

要は、相手の情報を引き出すのがインタビュアーの仕事です。
このときの「情報」というのは、原稿の目的によって、思想だったり、行動原理だったり、過去や未来の話だったりとさまざま。
もっと言うと、相手が「そうそう! それが言いたかった!!」となれるように、会話の中で情報を整理したり言い換えたりする必要があります。

こんな状況でも取材はつづきます。

当然ながら、雨森は取材のプロフェッショナルです。限られた時間でも、本質にたどり着いて、情報を引き出せる。
そんな取材音源だからこそ、僕や他のライターでもテープを聴くだけで、原稿を書くことができるのです。

執筆担当を分けることで、一人が1本にかけられる時間が多くなります。
もしくは空いた時間で別の業務を進めてもいい。

分業することのメリットは、他にもあります。
取材を上手にできるようになるには場数を踏まなくてはなりません。
プロの取材音源を聴くことで、擬似的なインタビュアー体験ができます。
一人でこなせるインタビューの数には限界があるので、他の人の取材音源を聴くことでトレーニングになりますよね。
おそらく僕の取材は、どこか雨森っぽさがあるのではないでしょうか。

ということで、アイタイスのように社内に複数人のコピーライターがいるからこそできる、時間のつくり方&ライター育成方法でした!

ちなみにアイタイスが「取材音源の提供を受け、ライティングのみ担当」するのがNGな理由は、まさにこれです!!

似たような写真こそ使いたいけど、使えない理由。

写真についても、あくまで個人の見解ですので「デザイン的に云々」とか「全体の要素として云々」みたいなことは、あまり考えていません。
ただ、何故かタブー視されている(ような気がする)写真の使い方があったので、その理由を考えていきたいと思います。

今回のタブー(?)

WEBサイトでは同じような写真を並べてはならない!?

かなり極端に書いてありますが、概ねこの感覚はあると思います。
「同じような」というよりも「同一のシーンのバリエーション」といった方が正確かもしれませんね。このタブーは人物撮影で、かつロケ撮影の場合に発生しがちです。

はじめになぜ避けた方が良いのかを考えてみます。
せっかくなので事例とともに見ていきましょう。


O-DRIVE powered by 追手門学院中・高等学校 探究科

避けた方が良い理由

退屈な印象になりづらい

場面を切り替えることでストーリーが生まれる

使われる写真が多く、似ている写真だと違いが伝わりづらい

ざっくりと3つ挙げてみました。
どれも納得できる理由だと思います。上で紹介した『O-DRIVE』というメディアのインタビュー記事には14枚の写真が必要です。
そのすべてを同一のロケーションで撮影した場合、相当退屈な画になるでしょう。

写っている人物だけではなく、空間こそが写真の印象を決定づける気がします。

ではカメラマン目線で、避けた方がいい理由はあるでしょうか?

避けた方が良い理由(2)

被写体に無理をさせないため

空間の力を借りるため

コミュニケーションの時間がほしいから

こちらも3つ。
1シーン、しかも1着の衣装で、14枚の写真を撮り切るのは至難の業です。
まず被写体に対して、かなり高度な演技を求めることになります。
ポーズや表情だけで14もの違いを出せる素人がいたら、モデルや俳優の道を検討した方がいいでしょう。

同じような表情だとしても空間によって、その印象はガラリと変わります。

イメージしてください。
空を見上げて、すこし眩しそうにしている人がいるとしましょう。
眩しい理由が、朝日だったら爽やか、夕日だったら哀愁を感じる気がしませんか?
そこまで極端ではないにしても、空間を変えることで雰囲気は変えることができます。

時間帯を変えるより、空間を変える方が現実的。

そして、もっとも重要なのが3つ目です。
移動中にする何気ない会話が大事。
この辺の話は以前のコラムを参照してください!


【ポートレートの話】会話上手は、ポートレート上手?

ここまで書いて「やっぱり避けた方がいい」と思っています。
が、しかし! やっぱり可能性を捨てたくはないんです。

だって結局1つのシーンでも、何枚も撮ってるんですよね。
そういうときの「真顔」→「笑顔」→「キメ顔」→「照れ笑い」みたいな展開が、とても好きです。
Instagramではよくある方法なのですが、全部見せることでその人の素を感じることができるのだと思います。
以下の写真を横にスライドしっていってください!

今回事例としてあげたメディアのようなサイトでは不向きかもしれませんが、いつかは同一シーン連続4枚みたいなこと、してみたいな。

では今回はこのへんで。
次回はもっと撮り下ろしの写真を使いたいと思います!

西村優祐

西村 勇祐

仕事以外でほとんど外出することがなくなりました。もともとインドア派なので、特に生活に変化はありません。