社長コラム

【月刊あめのもり】2021年3月「いや、ドヤ感出してるけど、別にそない上手いこと言えてへんで。のお話。」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2021.03.31

こんにちは。今月も月一コラム、やってきました。

突然ですが僕は『FUKIDASS』という日本のマンガ文化の普及・発展を目的に活動するグループに参加しております。


FUKIDASS

先週の金曜日、そのFUKIDASSで月に1度やっているオンラインセミナーで司会をしていると、
漫画の作り方をレクチャーしてくれる田中先生が、とある方法論を紹介してくれました。

それはベタなシチュエーションを一度抽象化して、面白いシチュエーションに転換するというもの。
とても有効な方法ですね。

セミナーで使われた資料。マンガのみならず様々な発想・企画に適用できますね。

その模様はYOUTUBEでも閲覧可能です。

この話を聞きながら、「なるほど。僕も割と同じ方法をとっているな」と思った訳です。
それは「例え」です。
一度抽象化して、別のアウトプットに変えるという点で、例えもそれに当てはまりますね。

隙さえあれば、いつでも!

僕は「例え」が大好き。いつだって例えたくて例えたくて仕方がありません。

商談中でも、隙があればすぐに例えちゃう。そしてその例えが上手くはまれば、心の中でドヤ顔をしています。

「例え」って、とても素敵ですよね。それによって、話を聞いている側の理解度が深まるし、
きちんとした例えで言い換えることができれば「あなたの話をきちんと理解しているよ」というメッセージにもなります。

だからこそ、商談中に上手な例えができると、その瞬間にお客さんがグイッと前のめりになるのを感じます。

また一種の言葉遊び的な面白さもあって、例えが上手な人がいると、僕は一瞬で惚れ込んでしまいます。僕もそれになりたい。

今日はそんな僕がこれまでに心の中でドヤ顔をした例えを振り返るっていう誰も得をしない(いつもですが)話をしてみましょう。

どう解釈するか問題。

僕のクライアントには住宅系・不動産系の会社が多く、そういうお客さんとの商談では「現場監督の重要性」的な話になることが多々あります。

なぜなら現場の大工さんたちにどう指示を出すかは、現場監督が設計図をどのように解釈するか次第だから。

そんな時に僕はこう例えます。

そうですよね。まったく同じ楽譜だったとしても、
指揮者が違えば、演奏はぜんぜん違いますもんね。

ビッシーーーーーーーーーーーー!

(↑お客さんの「それそれ! 言いたいのはそれ!」という気持ちを表した音)

大体これでイチコロです。住宅・不動産系の担当者は、すぐに「この人、わかってる!」の目になります。

どう評価するか問題。

評価制度の話をしている時によくあるのが、MVPなどの賞をとるのは、どうしても営業スタッフばかりで、
たとえば事務職やコールセンターなどのスタッフは評価が難しいという問題。

そういう時に僕はこう例えます。

そうですよね。
バロンドール(←年間最優秀選手)をとるのは
メッシとかCロナウドとかフォワードばかりで、
キーパーはなかなかないですよね。ゼロ点に抑えて当たり前だから。

バゴーーーーーーーーーーーーン!

(↑お客さんの「それそれ! 雨森さん、よく分かってる! もうあなたがMVP!」という気持ちを表した音)

これでイチコロ。お客さんは潤んだ瞳で僕を見ていますよ。

替わりが効かない問題。

働き方に関わる話をしている時によく出るのが、どのスタッフが担当しても同じ品質が担保できる仕組みをつくる重要性について。

つまり仮にハイパフォーマーが退職してしまったとしても大丈夫な状態をつくるために、経営者はどう動くべきか、みたいな話ですね。

でも実際は、どれだけ優秀な人が辞めたって意外と大丈夫なものです。
だから僕はこう例えます。

そうですよね。
ネイマールが史上最高額の移籍金で
パリ・サンジェルマンに行った次の年も、
バルセロナは優勝しましたからね。

ジョジョジョジョーーーーーーーン!

(↑お客さんの「それそれ! 雨森さん、もううちに移籍してきて!」という気持ち表した音)

さらに追い討ちをかけるように、これも付け加えます。

スティーブ・ジョブズが死んだからといってアップルは潰れましたか?
むしろ時価総額、ガンガン上がりましたよね?
かのスティーブ・ジョブズですら替えが効くのに、
替えが効かない人なんかこの世にいますか?

マッキントッーーーーーーーーーシュ!

(↑お客さんの「それそれ! 上がっているのはむしろ雨森さんの時価総額!」という気持ちを表した音)

これでイチコロです。その時の僕はあごに手を置いて、誇らしげにジョブズのポーズをとっていることでしょう。

再度スポットが当たった問題。

先日、とあるクライアント企業の新社長就任を告げる挨拶状を作るお仕事の中で、
現社長と次期社長の2人を一緒に撮影しようという案が出ました。
そうすることで、会長になられる現社長にももう一度スポットが当たりますね、なんて話になって。

そこで僕がこう例えます。

そうですよね。イチローが最多安打記録を更新したからこそ、
みんながシスラーのことを知りましたもんね。

イチローーースズーーーーキーーーー!

(↑お客さんの「それそれ! 雨森さん、もうこの際3人で写真を撮りましょう!」という気持ち表した音)

現社長も次期社長もこれでイチコロです。もしかしたら、その次の社長は僕かも知れません。

けっきょく伝わらない問題。

先日こんなこともありました。
これは商談の場ではありませんが、友達だけで構成されているLINEグループでのお話。

そのメンバーのひとりである僕の友人が、自社商品のカタログをつくる窓口となったそうで、
外部のデザイナーに詳しく意向を伝えたにも関わらず、イメージとはぜんぜん違うデザインが出てきて、
「デザインという答えのない世界で、こちらの意図を伝えるのは難しいね」みたいな話をしておりました。

そこで僕は、LINE上でこう例えます。

そうよね。
ちなみに北野武監督は、カチンコを鳴らした後、
撮影現場から立ち去るらしいよ。
なぜならどれだけ説明したとしても、どうせ役者さんは
自分の思い通りに動いてくれなくてガッカリするだけだから。

キタノブルーーーーーーーーーーーーーー!

(↑友人たちの「それそれ! でもそのエピソードの嘘っぽさったらない!」という気持ちを表した音)

友達ですらイチコロです。その後、他のLINEグループでも「例えて! 例えて!」と引っ張りだこです。

はい、今日はここまで。

そんな感じです。今日は特に何のオチもなく、終わっていきましょう。

今後、僕との商談の場では「こいつ、いつ例えるんだ?」「ほれ、例えられるものなら、例えてみろよ!」と期待しながら、また挑発しながら話を進めてくださいね!

ではまた!

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。

たとえる技術

1,200(税込)

レビュー

芥川賞作家・ピース又吉直樹や、直木賞作家・西加奈子らとの共著でも知られる文筆家、せきしろ。エッセイが東海大の入試に使われるなど、確かな文章力に定評があり、また数々の芸人にコント脚本を提供するなど、圧倒的なユーモアを生み出すせきしろの、表現力の秘密は「たとえ」にあった――。