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【月刊ニシ】2021年3月「人柄にも対価を」

西村優祐

西村 勇祐

UPDATE 2021.03.30

12ヶ月の中でなんで2月だけ短いんでしょうか。
おかげで、もう月1コラムを書かなければなりません。
こんにちは、アイタイスの西村です。

予定していた内容が時間的に間に合わなかったので、雑談的なコラムになってしまいました。
今回は以下の2つのテーマです!

3月のテーマ

金を払うときの話

写真を撮られる側になって気がついた話

結局は技術ではなく、人柄にお金を払いたくなる。

私事ですが、2020年に挙げる予定だった結婚式がコロナウイルスの影響でキャンセルとなりました。
ただ着々と準備は進めていたので、ウェディングドレスは用意してあったんです。

ひょんなことからそれを知った、浅草で『bookcobar』というお店を営む坂本夫妻のご厚意で、店舗を貸し切ってお披露目パーティーをさせていただいたのが、昨年の年末。
僕らは何もしていないと言っていいほど、何から何まで調整をしてくれたご夫妻には、感謝してもしきれません!
さすがに具体的な費用は書きませんが「大丈夫?」と、こちらが心配になるほど、低価格でやっていただきました。

夫婦の記念の写真を会社のサイトで出す! ※妻に許可はもらっています。

パーティー当日はカメラマンがいなかったので、せっかくならキレイに残しておこうと、この3月に記念撮影をしてもらうことになったんです。

妻が準備をしてくれたので、詳しい会社名などはわかりません。
メイクさんもカメラマンさんもとても穏やかな方で、完璧な仕事をしてくれていたと思います。
妻と僕のメイク・ヘアメイクの時間を入れて約4時間。
それで支払った料金は85,000円でした。

bookcobarさんでのパーティーも、今回の撮影も、個人的には「安い!」と思ったんですよね。
いままでに経験のないことを依頼することになるので、掲示された金額が高いのか、低いのかを判断するのは、よくも悪くも結果を見てからでないと難しいと思います。

また結婚関連の案件って、基本的に個人の顧客がリピートすることはありません。
だからどれだけいい仕事しても、次はないわけですよね。
そうなると企業側は多少、利益を削っても「選ばれる価格設定」が必要になると思います。
(個人的に、式とか披露宴はめちゃくちゃ高いのに、ムービーとか写真関連の相場が安い気がするんですよね)

こういうサブカットがあると嬉しい。年末に奮発して買ったパラブーツの革靴はなぜか右足だけ痛くなります。

顧客はその価格に比例した期待感を持つことになりますが、我々の場合、その期待を大きく超えていました
それは、そもそもキレイな写真を撮ってくれたとか、費用を抑えて準備をしてくれたとか以上に、人柄がよかったからだと思います。
親族を一人も呼べなかった寂しい控室で、妻のドレス姿にちょっと涙ぐんでくれる奥さんや、寒空の中なんとかテンションをあげようと振る舞ってくれるカメラマンの姿にこちらが感動させられる。

この人たちにお願いしてよかった」と心から思える瞬間があったんですね。

次がないからこそ、僕はそう思わせてくれたことに対して金を払いたい!
とはいえ建前もなく現金を渡すのってすごく勇気が必要だから、ありがとうの気持ちを還元できる追加料金制度があればいいのにと思ったこの頃でした。

技術よりも人柄 Part2

僕自身アイタイスに入社してから、カメラマンとして数年活動してきました。
その間、本格的な写真を撮られる側になったのは、前述した記念撮影の1度きりです。

被写体になって「カメラマンにとって大事なこと」を感じたので、備忘録として残しておこうと思います。

心がけたいこと

相手が人であることを忘れてはいけない

環境への配慮を忘れてはいけない

モノ以上に、思い出に残る時間をつくる

これまでのコラムで「カメラマンはもはや珍しい職種ではない」と唱えてきました。
それは正しいと思うのですが、無数に存在するカメラマンの中で「プロだな」って思わせてくれる人は、一握りだと感じています。
僕の中での「プロ」の定義は上記の3つを完璧に、かつ当たり前のようにこなし、さらに写真のクオリティも確保している人です。

撮影場所はド定番ですが、東京駅周辺でした。3月とはいえ、めちゃくちゃ寒かったです。

理由としては「キレイな写真を撮るだけ」なら、誰でもできるから。
カメラは機械です。持つ人によって、性能が変化することは絶対にありません。
車の運転と同じで最低限の知識さえあれば、扱うことができるし、そうなればキレイな写真はカメラが撮ってくれます。

だからこそ、大切なのは技術以上に、気持ちや人柄。
今回撮影をしてくださったカメラマンは、この3つを無意識のうちに実践していたと思います。

適度にコミュニケーションを図りつつ、迅速にシャッターを切っていくし、体調への配慮も忘れない。
まずこれができないと、現場の不満はガンガン溜まっていきます
被写体のための撮影ではなく、カメラマンのための撮影になってしまうんですよね。
クライアントワークでは、返金レベルの失態と言えるでしょう。

ロケ撮影の場合、周囲には撮影に関係のない人が大勢います。
当たり前のことですが、そういう人たちの迷惑になってはいけません
でも、見たことありませんか? 人通りの多い街中で、歩行者を無視した撮影を。
「撮影をしている」ことは、なんの免罪符にもなりません
そんな被写体が申し訳のないと思ってしまう状況下で撮ってほしいとは誰も言わないでしょう。

こういう写真も、一瞬の隙きを見計らって撮ってます。ベールをフワっとさせるために、メイクさんが頑張ってくれました。

3つ目は個人差があるかもしれません。
僕は納品された画像を見るのはせいぜい年1回あればいい方だと思っています。
だから、その数少ない振り返ったときに蘇る思い出をたくさん残しておきたい。
写真ってモノとして残っていても、記憶とセットになっているとは限りません
スマホの中にも「これ何のときの写真だっけ?」ってデータが、無数にあるじゃないですか。
だからカメラマンは、今後一生会うことがないかもしれないけれど、撮影をしている1時間が楽しい思い出になるように努力すべきなんですよね。

写真って音もないし、文字もない、さらに画角から外れている情報はまったく残りません。
だけどデータに記録されないことにこそ、プロっぽさが現れると思うんです。

納品枚数は140枚超え。「やれ」と言われて撮れる数じゃないと思います。

「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、撮られることで身が引き締まる思いでした。
特に「写真は見返さないもの」っていう前提は、肝に銘じておこうと思います。寂しいけれど、これが現実!

さて、3月は31日まであるので、次回は予定通りのコラムをアップできるはずです。
ではまた、4月にお会いしましょう!!

西村優祐

西村 勇祐

この記事のメインビジュアルに写っている僕の顔がエモすぎて、夫婦で笑っていました。あと『PlayStation5』が手に入らないので、そろそろゲーミングPCに手を出そうとしています。誰か、止めてください。