社長コラム

【月刊あめのもり】2022年1月「中小企業の案件で“とがった”クリエイティブを成立させるためにディレクターがすべき10のこと。」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2022.01.31

みなさん、こんにちは。雨森です。

新しい1年がはじまり1ヶ月。
月並みですが、本当に早いですね。

さて、メルマガから飛んで来てくれた方にとっては
すこし内容が重複しますが、2022年1発目のコラムは、
僕が持つ3つの肩書の中から、普段はあまりフォーカスすることのない
「クリエイティブディレクター」としてのお話です。

僕には「ブランドコンサルタント」「コピーライター」「クリエイティブディレクター」の3つの肩書があります。(プロフィールページはコチラ

本日、無事に公開しました!

これまたメルマガと重複しますが、
本日1月31日、昨年から半年以上にわたって進めてきた
『株式会社 三輝様』の公式サイトのリニューアルのプロジェクトが完了し、
無事に公開となりました。


株式会社 三輝

以前より取引をさせていただいている三輝様は、大田区にある製造メーカー。

“ものづくりの聖地”とも言われ、小さな町工場が無数に立ち並ぶ大田区にて、
創業から半世紀以上にわたって、主に「流体継手」をつくっています。

「流体継手」って何? と思った人は、ぜひ三輝様のサイトへ!

そうです。ここが重要なポイント。

先ほどのURLに飛んでもらえるとわかると思いますが、
今回のサイト、けっこう“とがった”デザインというか、
(いい意味で)(超真面目に)“ふざけた”クリエイティブとなっております。

たとえば大手の代理店が間に入っているような、
ナショナルクライアントのキャンペーン系の施策であれば、
ネット上でのバズを戦略的に狙いながら、
こういったアプローチをとることもあると思います。

しかし三輝さんはそうではありません。

大田区には2〜3人で現場を回しているような小規模な工場が多いので、
その中では決して小さい会社ではありませんが、
とはいえ、もちろん「大手企業」と呼べる組織ではないことも明白。

フッタやメニューを見てください! スタッフの皆さんのお顔が!!

アイタイスでは三輝様と同じように、中小企業をクライアントに
ブランディングワークとクリエイティブワークを行う
ことが多いのですが、
そういった会社の公式サイトは、3年でリニューアルしていけば早い方。
5年、いや、10年ちかく変えないことも少なくありません。

自社サイトの運用や改変、リニューアルなどにかけられる予算がほぼない企業も多く、
かつ先述の通り、数年に1度のスパンでしかつくり直さないので、
結果的にどうしても“置きにいった”デザインというか、
会社の信頼性や規模感、誠実さを訴求するような、“王道なクリエイティブ”になることが多く、
(それがダメだと言っているわけではありません)今回のように攻めに攻めまくったアプローチは、
けっこうレアなケースだと思います。

徹頭徹尾、我々の意向を理解していただき、
こちらが提案するわりと“ぶっ飛んだ”デザイン
大きな心で許容してくれた三輝の阿部社長には、本当に感謝です。

ということで、前置きが長くなりましたが、
今回は“守りのデザイン”になりがちな中小企業を相手に、
“とがったデザイン”を進めていくために、
ディレクターが意識すべきことを10個挙げてみましょう。

1:“とがっていること”が目的になってはいけない。

1つ目でありながら、これが結論です。

“とがっている”ということは、
あくまで手段であり、目的ではありません。

三輝様のビジネスモデル上、公式サイトでマーケティング的な役割は少なく、
(新規顧客を獲得する必要はそれほどない)
今回のリニューアルにおいて最も大切なオーダーは「採用の活性化」でした。

「流体継手」という、言ってみれば“地味な”パーツをつくり、
また工場があるのも蒲田駅から遠いすこし微妙な場所、
さらに“工場勤務”という時点で、未だによくないイメージを持つ人も多い中で、
「とにかく会社の楽しい雰囲気が伝わる明るいサイトにしたい」という
オーダーをいただいておりました。

今回の“攻めたデザイン”は、
上に書いた大目標を達成するための手段。
その事実を絶対に崩してはいけません。

長い制作期間のはじめから最後まで、
携わる制作スタッフすべてに、それを周知徹底し続ける。
ディレクターとして、最も大切な役割です。

2:信頼関係を築く。

実際にサイトを見てもらうとわかるように、
今回、スタッフの方々に、撮影で多大なる協力をしていただいております。

中には「現場で忙しいのに……」と訝しく感じていた方もおられるかもしれません。

それでも皆さんに、とびきりの良い表情をしてもらい、
時には普段はしないようなお茶目なポーズをとってもらうことで、
これだけ素敵な表現ができるようになりました。

随所に散りばめられたスタッフの写真が、デザインのポイントに! 実際にはもっと多くのスタッフの方に登場いただいております。

ここで大切なのは、スタッフの方々と、
僕(ディレクター)、そしてカメラマン(弊社の西村)との信頼関係です。

撮られる側の気持ちを乗せ、場合によっては「何故こんな撮影が必要なのか」を説明し、
「そういうことであれば、喜んで協力するよ!」と理解していただいて、
楽しい雰囲気の中で撮影を行うための発言や立ち振る舞いを意識しないといけません。

これは毎回の撮影で大切なことではありますが、
今回はいつも以上に意識すべき点となりました。

3:デザイナーにきちんと案件の中身を伝える。

このある意味ぶっ飛んだ、超絶クールなデザインをつくってくれたのは、
当然ながら、僕ではなく、デザイナーです。

しかし僕はデザイナーに「今回は攻めたデザインで!」とか
「ぶっ飛んだ感じに!」といった指示は出しません。

大切なのは先に話した通り、会社の楽しい雰囲気を伝え、
求職者に対して「ここで働いてみたいな」と思わせる
こと。
(もちろん、それだけがこのサイトの役割ではありませんが)

その手法として、例えば「スタッフをたくさん出す」、
「巨大・極太ゴシックで、インパクトを出す」と言った、
普通の企業サイトならあまりやらないアプローチをとってもらっています。

「とがってね」「攻めてね」という指示ありきで、とがったデザインが出てきた時と、
目指すべき目的があって、それを達成するための手法として、
言い換えると「武器」として、とがらせたデザインを採用し、利用した時。

そこには大きな差があると思っています。

4:デザインの意図をロジカルに伝える。

デザイナーに案件の大目的などを伝え、出てきたデザインを、
今度はクライアントにプレゼンするのも僕の大切な役割です。
※僕はディレクターでありながら、プロデューサーも兼ねているので。

何せ今回、同じ業界の同じ規模の会社の中では、
ここまで振り切ったものはないであろうデザインなので、
クライアントはビックリして当たり前です。

そこで表面的な見た目のみならず、
含まれている意図や狙いを含めて、ロジカルに説明することで、
デザイナーが時間と頭を割いてつくってくれたデザインを
“そのままの方向性”で通すのが、我々ディレクターの腕の見せ所。
(「細かい修正を受け付けない」という意味ではありません)

まずは「自分自身がそのデザインを本当にいいと思っている」という前提で、
説明時のロジックは後付けも構いません。

とにかく、感覚的ではなく、理論的につくり出されたデザインであり、
このデザインによって、課せられたオーダーをクリアできる
ということを
きちんと説明することがここで非常に大切なことになります。

5:………

5個目は……、あ、もうない。ないわ。全然思いつかへん……。どないしよ、、、。
メルマガにも「10」って書いてしまったのに……。

よし、もうこうなったら、「ディレクター」とか「デザイン」とか関係なく、
日々の心がけでごまかすしかない!(やけくそ)

ということで、5つ目。
「玄関には次の日に履く靴しか置かない」

これは2022年になって決めたルール。

朝、どれを履こうかを迷うことなく、
1日をスッキリした気持ちで始められるので、おすすめです。

これは、とがったデザインのためには絶対に必要でしょう(無理矢理)

6:周りのお客さんに、ひと言。

僕には2歳と4歳の子どもがいて、
週末は基本的に妻も含めた4人で外食に行きます。

家族みんなで美味しいご飯を機嫌よく食べている分にはいいのですが、
特に下の息子はまだ小さいので、グズってしまうこともしばしば。
時に「ワー!」っと、大きな声を出すこともあります。

もちろんできるだけ子どもが騒いでも大丈夫そうなお店を選んでいますが、
とはいえ、不快に思う人もいるはずです。
(自分に子どもが生まれるまでの僕が、割とそうでした)

だから店を出る時に、近くに座っている他のお客さんに、
「子どもが騒がしくしてすいませんでした」と必ず伝えるようにしています。

これも、とがったデザインのために
ディレクターが意識するべきことでしょう(もうめちゃくちゃ)

7:反対車線の車に道を譲る。

対向車線の車が右折しようとして(右折専用車線のない交差点とか、逆車線のお店に入るためとか)
でも譲ってもらえないが故に、右折できずに、プチ渋滞ができているのを見た時に……

1:自分の後ろにも車が来ている。
2:右折しようとしている車の後ろにも車がいる。

この2つの条件が重なったら、必ずパッシングをして道を譲ります。
このルールは自分の中では絶対。
※自分の後ろにまったく車がないのであれば、譲りません。
※右折しようとしている車の後ろに、まったく車がないのであれば、譲りません。

このルールを徹底しているが故に、
1回の移動で多ければ2桁ちかく道を譲ることも珍しくありません。

一緒に乗っている妻に聞いてもらえればわかりますが、
僕は都内で道を譲った回数、ベスト10に入るんじゃないかなと思っています。

これをやらなかったら、とがったデザインを
クライアントに納得してもらうことはできないでしょう(もう許してほしい)

8:お風呂の体を洗うところにある排水口のフタは使わない。

2021年に試しでフタを外した状態で運用したところ、
今となってはフタがあるメリットがわかりません。
あれって何のためにあるんですか?

フタがあるから不衛生な状態になっても気づかず、何だったら髪の毛も詰まる。
逆にフタをなしにして、毎日、全員がお風呂に入った後に髪の毛を捨てて、
軽くゴシゴシするようになってから、本当にストレスがなくなりました。

それまでは「いつ排水溝に溜まった髪の毛を捨てるか」を決めていなかったし、
「どれくらい髪の毛が溜まっているか」も見えないから、
時に水が流れず、溢れ出して「グロ注意」な絵になることもしばしば……

今回の三輝さまのデザインが超イケてるモノになったのも、
フタをとったからだと思います(もはや無惨。でもまだ2つもある・涙)

9:1日のルーティンを細かく決める。

前々からやっていたのですが、2022年度版をきちんと作りました。

これをやってから、体重が簡単に目標の数字を達成するようになりましたよ。

ただし、まん防のせいで、ガストにはいけなくなったけど。(あれ? モニターがよく見えない……。あ、そうか。いま俺、泣いているのか。)

10:妻の足をマッサージする。

誰の協力も請わず、来る日も来る日も、仕事をしながら
家事も育児もする彼女に感謝とねぎらいの意を込めて、できるだけ毎日。

しかも彼女は、僕のように仕事中でもマッサージのお店に行こうと思えば行けるわけではないので。

ふう……。なんとか10個、書けた、、、って、後半なんやったんや!

はい、今日はここまで。

以前のコラムでも紹介した通り、僕がディレクションしたサイトには、
自分自身がヒッチコックのように、カメオ出演しているのも一つの見どころです。


【月刊あめのもり】2021年10月「日本のヒッチコック(!?)、ついに主役になる」

今回の三輝様のサイトにも、多々ありますよ。ぜひ探してみてください

例えばココ。「03」の「顧客第一主義でささえます。」の写真の左端に
ほんの少しだけ見えている後ろ姿。これ、僕です。

この「03」で登場いただいたイケメンは、生産管理部のヨシヒサさんです。スタッフページはコチラ

つづいてココ。「製品紹介」のエリアの左上と右下の2つの製品。
これを持っているのも僕の手です。

ここは白バックの写真を並べず、あえてゴチャゴチャさせたのがデザインのポイント。

て、誰が分かるねん! とがったデザインは成立してても、クイズとしては成立してへんやないかー!!!!

ではみなさん。また来月に。

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。

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