コピーライティング講座

誰でもカンタン。読みやすく、きちんと伝わる文章教室vol.2【コピーライティング講座】

川島優大

川島優大

UPDATE 2022.06.10

友達や家族、仕事仲間と連絡をとる時。もしくはSNSに投稿をする時。私たちの生活には文章が必要不可欠です。しかし書いてみたものの、本来の意図とは違う伝わり方をしてしまった経験、みなさんはありませんか? 相手が誤解することなく、きちんとこちらの言いたいことが伝わる文章を書くのは非常に難しいこと。実は学校の国語の授業などでも、それを習うことはありません。しかしちょっとした方法を知っているだけで、すぐに書けるようになります。その極意を、新人コピーライターの僕と一緒に、学んでいきましょう。

前回は『文末の処理』を紹介しましたが、みなさんチェックしましたか?
まだの方はこちらからどうぞ!(Vol.1はこちら
Vol.2となる今回は『重複』に焦点を当てていきましょう。

STEP1:一回だけでも伝わる。

伝わりづらい文章の原因のひとつは単語の重複です。
同じ言葉がつづく文章は、文の構造が複雑に見えてしまいます。それを防ぐためにも、言い回しを変えてみたり、省略してみたりしましょう。
例えば……

新しいパソコンを買うタイミングは、パソコンが「ほしい」と感じたときだと思う。パソコンが安くなるのを待っていると、また新しいパソコンが出てしまうからだ。

「パソコン」だらけで読みづらいですよね。
「いやいや……こんなにたくさん書かないって(笑)」と思っているそこのあなた。書いてみると、意外となりがちです。「主語+述語」という文章の構造を正しく守った結果、いつの間にか同じ言葉が続くことはよくあります。この例文もそうなってしまったひとつ。
正しく書き直していきましょう。

新しいパソコンを買うタイミングは「ほしい」と感じたときだと思う。安くなるのを待っていると、新しいものが出てしまうからだ。

1度だけで収めることができました。スッキリしたと感じませんか? 基本的に日本語の主語は、それが変わるところまで省き続けることができます。

言い回しを変えたいけど、他のフレーズが思いつかない……。そんな時は類語辞典で調べてみましょう。
例えば「私」という言葉なら、「自分」や「筆者」など、いろいろと言いかえることができるので、重複を回避できますよ。

Point1

同じ単語を繰り返さない。

STEP2:その文、本当に必要?

「単語」の次は、「文」に注目してみましょう。
まずは例文から……

言葉の選び方もまだ完璧ではない自分、そんな自分でも人の気持ちを人一倍理解しようとすることができる。完璧ではないからこそ人に寄り添ってともに生み出すことができる。

実はこの文章は、僕がアイタイスに入社する前に、社長から課題のテストとして出されて、書いたもの。正直言って、とても読みづらいですよね……。その原因としてまず考えられるのが、STEP1で解説した単語の重複がとても多いから。「完璧」「自分」「人」と何度も使っている部分を修正してみましょう。

言葉の選び方もまだ完璧ではない自分だからこそ、人の気持ちをより理解しようとすることができる。未熟だからこそ寄り添って生み出すことができる。

こうすることで単語の重複は回避することはできました。しかしまだ読みづらく感じませんか? その理由は2つの文が同じ意味を持ってしまっていることにあります。ここに意識を向けるのがSTEP2のポイントです。

同じ意味の文を繰り返さない。

そもそも大前提として、広告のコピーは短いに越したことはないもの。同じことを2回以上も言っている場合ではありません。意味が被っている部分は、まとめてしまいましょう。

2つの文で構成されている上記の例文。そのどちらも

言葉の選び方が完璧ではない+できないなりにより理解しようとする

このことを伝えようとしています。なのでひとつに要約すると……

まだ言葉選びが完璧ではない自分。しかし、だからこそ人の気持ちをより理解しようとすることができる。

シンプルで読みやすくなりましたね。
このように単語においても、文においても、「重複がなくなるように」を意識しましょう。いつの間にか長くなっている文章も、よく見てみると、同じことを言ってしまっていることがあります。それをまとめることが伝わりやすい文章へのポイントです!

Point2

意味の被りをなくす。

STEP3:あなたも使っているかも? 日常会話に潜んだ罠。

いきなりですが日常会話の中で「まず一番最初にやらなければ……」なんて言ってしまっていませんか? 実はこの言い方、間違っています。ここで注目すべきは「まず一番最初」の部分です。よく見てみると……

まずやらなければいけないことは〜

一番にやらなければいけないことは〜

最初にやらなければいけないことは〜

「まず」「一番」「最初」はすべて同じ意味。したがって、どれかひとつでも伝わります。こういった二重表現(今回の場合は三重表現ですが)は日本語のルールとしてご法度。話し言葉では会話の流れで許される時もありますが、書き言葉ではやらないようにしましょう!

他にもよく間違える例として……

返事を返す→返事をする

だいたい3つくらい→だいたい3つ/3つくらい

必ず必要である→必要である

事前に予約する→予約する

アイタイスではこれに加えて、意味的に重複していなくても同じ漢字が近くにあるのもNG。
(歌を歌う・学校の校舎・臨機応変な対応など)
隣同士や近くになってしまいそうな時は、言い回しを変えるように教えられました。

Point3

二重表現に気をつける。

覚えるだけでない。実践が一番の近道。

では最後に今回もコラムで学んだことを確認しておきましょう。

POINT

同じ単語を繰り返さない。

意味の被りをなくす。

二重表現に気をつける。

Part1につづいて新しく3つ守ることが増えました。いかに重複を減らせるかを意識して書くことで、よりわかりやすい文章へより一歩近づくことができます。せっかく書いたものが間違って伝わらないように、このコラムで学んだことをひとつずつ実践していきましょう。そうすることでいつの間にか誰にでも伝わる文章を書けるようになりますよ。

次回は文章の中で当たり前のように使われる『句読点』がテーマ。どこで文を区切るか悩んでしまった経験はありませんか? 打つポイントを覚えることで、いっそう伝わりやすい文章へとなりますよ。それではまた次回!