社長コラム

【月刊あめのもり】2023年4月「なりたいのは、時代おくれ」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2023.04.28

みなさん、こんにちは。雨森です。

新年度が始まり、早1ヶ月。みなさん、もう新しい環境に慣れましたか?
僕は仕事においては特に新しいことはありませんが、プライベートを含めると、子どもたちが少し大きくなり(5歳と3歳)、休日に家族でカラオケに行くことが増えてきたという変化があります。

僕が歌うのは、もっぱら昭和〜平成初期の歌謡曲。今月に家族で行った時も、メインはそういうレパートリーでした。その時のセットリストをなんとなくスマホで撮っていたので、載せてみます。

安全地帯やゴダイゴは初めて。それ以外のチャゲアスや爆風スランプなどはいわゆる“十八番”で、だいたい毎回歌っています。

そしてこのコラムで取り上げたいのは、画像の下からふたつ目、「時代おくれ / 河島英五」です。

ご存知の方もそうでない方もいると思いますが、この曲は「酒と泪と男と女」と並ぶ河島英五の代表曲のひとつで、ウィキペディアを見てみると、愛唱歌とする著名人として志村けん、松本人志、朝青龍、山本浩二、久保竜彦……と錚々たるビッグネームが挙げられていました。

言いたいことは2つ。まずは歌が下手! そして長州力にしか見えない!(爆)

当然僕もこの曲は大好き。時代の移り変わりにに左右されない普遍的な男の価値観や生きざまが綴られている歌詞は最高です。僕の仕事に関連付けるのであれば、経営理念における『バリュー』『行動指針』に近いものだと言えるでしょう。

そして僕はインスタとYOUTUBEで『雨森武志のきほんルール100』というコンテンツを展開していますが、それにも似た内容になっています。


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ということで今日は、この「時代おくれ」の歌詞を引用しながら、それを『雨森武志のきほんルール100』ならぬ、『河島英五の基本ルール100』と勝手に銘打って、共感できるものかどうかを見ていくという、訳の分からない内容で進めていきたいと思います。

河島英五のきほんルール1「一日二杯の酒を飲む」

一日二杯の酒を飲み
さかなは特にこだわらず
マイクが来たなら 微笑んで
十八番(おはこ)を一つ 歌うだけ

まずは1番のAメロです。

「一日二杯の酒を飲み」は、はっきり言って、ちょっと飲みすぎじゃないかなという気がします。「二杯」と聞くと、決して多くはないと思いますが、「一日二杯」ということは、「毎日飲む」「1年で365日飲む」と読めるので、それはさすがに多いかなと。休肝日があった方がいいとよく聞きます。

ちなみに僕は週末は妻と一緒に必ずお酒を飲みますが、平日はまったく飲まないし、仕事終わりに友人や仕事関係の人と飲みに行くこともありません。あと先月のコラムにも書きましたが、妻の妊娠中と授乳中もお酒は飲みませんでした。

ここで大事なのは、「マイクが来たなら 微笑んで」からの一節。これはとてもいいですね。順番が回ってきたんだから、周りの空気を悪くしないためにも、ニコッと微笑んで、自分が好きな曲を歌う。その姿勢はすごく共感できます。

というのも、たまにガチンコで歌うのを嫌がる人がいますよね。仮に歌がめちゃくちゃ下手だったとしてもこっちはなにも思わないし、選曲のセンスなんかもまったく問わないし、1曲くらいサラッと歌えばいいのに……と感じるような場面に僕も出会ったことがあります。「だったら来るなよ、カラオケに」と感じざるを得ません。

周りの人も「楽しめてないんじゃないかな」「あ、本当は来たくなかったのかな」と気を遣いますよね。そういう思いをさせないためにも、とてもいいルールだと思います。

河島英五のきほんルール2「妻には涙を見せない」

妻には涙を見せないで
子供に愚痴をきかせずに
男の嘆きは ほろ酔いで
酒場の隅に置いて行く

続いて1番のBメロ(メロディーは一緒なので、Aメロとも言えますが)です。

「妻に涙を見せない」「子どもに愚痴を聞かせない」。この辺は、当たり前すぎて、そんなことをするやつおらんやろって感じ。仕事をしていると、大変な思いをすることもありますが、それは家には持ち込まない。当然です。僕も徹底しています。

そもそもこれまた先月のコラムに書きましたが、僕がどれだけ仕事で大変な思いをしようとも、育児を中心とした母親業(お金をもらえないやつ)の方が、僕の仕事より圧倒的に大変であることは疑いようのない事実です。したがって妻に自分が担っていることの大変さを伝えるような行為はナンセンスの極み

後半の「酒場の隅に置いて行く」に関しては、僕は上にも書いたとおり、ここ数年は“酒場”的な場所に行かないので、正直言ってよく分かりません。じゃあ男の嘆きをどこに捨てるのか。その答えは、どこにも捨てないし、そんなものは抱えないというのが僕の考え方。

僕の場合は、仕事がどれだけ大変でも、生活でどれだけしんどいことがあっても、自分に仕事が回ってきて、それを遂行することで他人や社会に貢献できるというだけでめちゃめちゃ幸せだし、大切にすべき家族がいて、信頼できるスタッフがいるだけで幸せと考えてしまうので、“嘆き”なんて生まれません。

多くを求めない。足るを知る。

それが僕の基本的な姿勢であり、向上心という意味ではあまり褒められたものではないかもしれませんが、「男の嘆き」なんてものは抱えていないというのが正直なところです。ま、言ってしまえば、ノーテンキなんでしょうね。いつも元気で、嘆かないわけですから。でもそれでいいでしょう。

河島英五のきほんルール3「人の心を見つめつづける」

目立たぬように
はしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい

はい、サビが来ました。

「目立たぬように」「はしゃがぬように」「似合わぬことは無理をしない」。さすが、この辺はとてもいいですね。

無理をせず、分相応に、生きる。とても大切な価値観だと思います。どうしても見栄を張ってしまい、自分を身の丈以上に見せようとしてしまうことが多い現代に生きているので、余計に共感できます。それを実現することが、つまりいい意味で「時代おくれ」ということなんでしょうね。

ただその一方で、「目立とうとする」ということは、言わば自分の強調したい部分を際立たせて、「周りの人にこう思われたい」という方向に持っていく、つまり「ブランディングに成功する」ということでもあるので、一概にダメなこととも言えません。さらに「本来似合わないことに、無理をしてまで挑戦する」という姿勢も、場合によっては尊ばれるもの。つまり結論としては、「状況による」としか言えないでしょう。

河島英五のきほんルール4「一年一度酔っぱらう」

不器用だけれど しらけずに
純粋だけど 野暮じゃなく
上手なお酒を 飲みながら
一年一度 酔っぱらう

ここから2番です。まずはAメロ。

後半の「上手にお酒を飲む」「一年一度酔っぱらう」ということに、どういう価値があるのかは、正直僕には理解できません。「一年一度」というのが「あまり頻繁に酔っぱらうなよ」という意味なのか、逆に「たまには酔っぱらうくらい羽目を外すのも大事だよ」っていう意味なのか、それすらよく分からない。

なのでそこには言及せず、ここはやはり前半の「不器用だけどしらけない」「純粋だけど野暮じゃない」という部分にフォーカスしたいですね。ここがすごくいい価値観だと思います。

いろいろなことを器用にこなせる必要はない。多くの人に好かれる必要もない。それでいてニヒリズムにもとらわれない。そんな風に読むことができて、ここはめちゃめちゃ共感できるし、僕もそうありたいなと強く感じます。

さらにその次に来る「純粋だけど野暮じゃない」のくだりも完璧。「純粋」と「野暮」というふたつの言葉を対義語として扱う川島英五のセンスには脱帽です。

河島英五のきほんルール5「自分のことは後にする」

昔の友には やさしくて
変わらぬ友と信じ込み
あれこれ仕事もあるくせに
自分のことは後にする

続いて2番のBメロです。友情に関わるこの一節も、なかなかいいですね。

学生時代など、何の利害関係もない中で知り合って、そこから成長する中で価値観や生活環境などが変わり、もっと言うと収入の差が生まれたとしても、真正面から語り合える友達。それが本物の友情であり、大切にすべき関係性であるような気がします。

大人になってから知り合った人は、得てしてそれぞれの虚栄心や腹の探り合い的なものが見え隠れすることもあり(と勝手に僕が思っているだけかもしれませんが)、僕も苦手です。実際、日常生活で付き合う友人も、ほとんどが20代に知り合った旧友。歳をとるにつれて、どんどん人見知りが激しくなったこともあり、新しい友人はできません。

その結果、若い頃は割と友達が多い方だったと思いますが、今はむしろめちゃめちゃ少ない方になりました。でも別にそれでいいかなと感じる今日この頃です。

河島英五のきほんルール6「ねたまない あせらない」

ねたまぬように あせらぬように
飾った世界に流されず
好きな誰かを思いつづける
時代おくれの男になりたい

そして最後のサビです(実際は、最後にもう一度、1番のサビが繰り返されますが)

ここも1番のサビと同じような価値観が語られていて、さらに「好きな誰かを思いつづける」という部分に関しても、またまた先月のコラムに書いた通り、僕も割と愛妻家なので、すごく共感できます。うん、やっぱり……

時代おくれ

になりたいんだな、僕は。

はい。今日はここまで。

ぜんぜん深い内容にならず、途中から「あ、これはテーマの設定を間違えたな」と思いながら書いていました(苦笑)。が、もう時間もないので、今月はこれでいいでしょう。

ちなみにこういう「自分に課すルール」系の歌詞と言われてもうひとつ思いつくのが、大事MANブラザーズバンドの「それが大事」です。

この曲では以下の4つがルールとして設定されています。

負けない
投げ出さない
逃げ出さない
信じ抜く

ただ、この4つはまったく共感できません。なぜなら「負けない」というのが、「結果」に言及しているのに対して、「投げ出さない」「逃げ出さない」「信じ抜く」の3つは、「手段」なので、4つの言葉の持つ情報のレベル感がまったく揃っていないというのがひとつ目の理由。

さらに「投げ出さない」と「逃げ出さない」が、どう考えても意味的に重複しているというのがふたつ目の理由です。たった4つを掲げる中で、そのうちの2個がほぼ重複って、ありえないですよね。。。

つまり、この4つが「バリュー」「行動指針」として定められたものだとすれば、びっくりするくらい不毛な内容だなと思ってしまいます。

という余談を付け加えたところで、やっぱり今日はダメだな。。。深い内容にはならないわ。もう諦めよう。

ではまた。

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。

ゴールデン☆ベスト 河島英五 ヒット全曲集

1,765(税込)

レビュー

GOLDEN☆BESTシリーズ。河島英五の決定盤ベスト登場! 4種類ある『酒と泪と男と女』のスタジオ録音のうち、1976年に発売され大ヒットとなったオリジナルバージョンを収録。そのほか代表曲『時代おくれ』『野風増(のふうぞ)』をはじめ、亡くなる数日前のライブ音源に、家族や友人たちがスタジオでコーラスや追加の楽器をオーバーダビングした最期のシングル『旧友再会』まで全16曲、まさに決定盤と呼ぶにふさわしい内容です。