社長コラム

【月刊あめのもり】2024年7月「この“つまらない人生”を、誇らしく、胸を張って。 – inspired by キングカズ&髙木先生 – 」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2024.07.31

こんにちは。雨森です。

我が家では小学校1年生になった娘が初めての夏休みを満喫つつ(とはいえ平日は基本的に毎日学童ですが)、週末はキャンプ三昧で、日焼け対策が欠かせない日々を送っておりますが、みなさんはどのようにお過ごしでしょうか。

まずはいつもの通り、告知から。毎月末日恒例の「マンスリー振り返りインスタライブ」、今日もやります。時間は12:30から。お昼休みのおともに、ぜひリアルタイムでご覧になってください。


本日の12:30から

先ほど配信されたメルマガにも書いた通り、今日は最近YOUTUBEで観たとある動画の話を少ししてみたいと思います。

キングの放った衝撃の(!?)ひと言

その動画とは、キングカズこと、サッカーの三浦知良選手(以下、カズ)が、日々のルーティンを紹介するというもの。スポーツ専門誌『Number』が企画したコンテンツのようです。

興味がある人は実際の映像をみてもらうとして、簡単に言うと、昨年、カズが所属していたポルトガルのチームでの1日を時間軸に沿って追っていくといった内容でした。特に目新しいこともなく、企業の採用コンテンツなどでもよくありますよね。

この円グラフ、採用サイトでよく見るやつ!

だいたい想像はついていましたが、紹介された1日の過ごし方は本当にストイックなもの。そりゃそうです。還暦に手が届きそうな選手が(いろいろと“大人の事情”があって賛否両論はありつつも)自分よりも30歳近くも若い屈強なプロサッカー選手と一緒に戦っているわけですから。

とにかく「娯楽」とか「余暇」などと呼べるものからは距離を置いて、ただただサッカー選手としてのパフォーマンスを高めるためだけの1日を送っているようです。さすが「キング」と呼ばれるだけありますね。

そして、そんな自分の生活を紹介しながらカズがポロっと残した言葉が、僕には非常に印象的でした。

「つまらない人生ですよ」

日本のサッカー界を長きにわたって牽引し続け、世界的に有名なサッカー選手からも崇められ、主婦のカリスマとも言われるきれいな奥さんがいて、もちろんお金だってわれわれ一般人と比べると何十倍、何百倍もあるであろう押しも押されもせぬスーパースターが、自分の生活を振り返った結果、言い放った言葉が「つまらない人生」

ちょっとした自虐をこぼしたカズの顔には、苦笑いのようで、それでいて少し誇らしさを感じさせるような笑顔を見せていました。

ひるがえって、僕自身のことを

カズが言わんとしていることはよく分かります。と言うのも、僕も割と似たようなことを書いたことがありました。それは約1年前に公開したアイタイスの創立5周年を記念したサイトの『from CEO』と題された、5年間を振り返って思いの丈を綴ったコンテンツです。キャプチャを貼ってみましょう。

これを書いて1年が経った今なお、まったく同じような生活を送っています。


アイタイスinc.5th アニバーサリー スペシャルサイト

僕とカズとでは、成し遂げたこと、やっていることの規模感、与えた影響力、稼いだお金、そしてストイックさの度合い……と、何から何まで本当に天と地ほどの差はあって、到底、比較の対象にはならないことは承知の上で、あえて言うと、カズが言わんとしていることはすごく分かります。

そして「つまらない人生ですよ」と自らを卑下したと同時に、どこか誇らしさを感じさせるような笑みを浮かべたその気持ちも想像がつきます。

僕も特に子どもが生まれてからの7年間、カズと同じように、基本的には仕事と家族のことばかりしていて、一般の人と比べると“余白”みたいなものがない生活を送ってきました。この7年間で外に飲みにいったおそらく回数は20回もないでしょう(家族と一緒になら、数えられないほど行ってますが)。妻の妊娠中〜授乳中の2年間は、お酒も飲んでいません。

そんな人生がもちろん100点だとは言えませんが、「これはこれで悪くない」と感じています。

ではなぜカズほど他人から尊敬を集められたり、多くの人に影響を与えたりできるような立場にいない僕が、生き方のスタンスだけは一丁前にカズと同じようにあれるのか。それを考えた時に、もうひとつ思いついた言葉がありました。

人生をかけて果たすべき、ミッション。

それは、僕が運営をお手伝いしているという追手門学院中・高等学校のオウンドメディアで取材をした髙木先生の言葉です。


O-DRIVE powered by 追手門学院中・高等学校 探究科

原稿自体はまだアップされていないのですが(もうずいぶん前に書き上げてチェックは出しているのですが……)すごくザックリと要約するとこんな感じ。

髙木先生が考える教育の目的は、生徒たちがそれぞれに「人生をかけて果たすべきミッション=使命・天命」を持った状態で卒業させること(今の日本の学校では「志望校に合格すること」などが教育の目的になりがち)

髙木先生自身は、明確に自分のミッションを持っている。

それが故に、それ以外のことができなかったり、失ったり、損なわれたり、他人から批判されたりしても、自尊心や自己肯定感が揺らぐことがなく、非常に生きやすい。

この話には、僕もかなり感銘を受けました。軸の部分というか、核の部分というか、そこを明確にしておけば、実はそれ以外は割とどうでもいいことだし、その軸・核は、本来人生においてそんなに多くないはずです。

髙木先生、めちゃめちゃ尊敬しています。

そして僕はこの髙木先生の言葉にとても感化されたが故に、スタッフからの質問にアドリブで答える動画でも、その話をしています。

つまり、その「ミッション」に値するものが、カズはサッカーに関するものだろうし、僕は「自分の専門領域を活かした他者への貢献」だと思っているので、それ以外のことをすべて捨ててしまって、それこそ他人から見たり、一般的な価値観から考えたりして“つまらない人生”であったとしても、軸が揺らぐことはなく、心が安定しているんだと思います。

もちろんそのミッションを全うしながら、かつ友人と飲みに行ったり、すき間で趣味に興じたりできればそれが一番いいですけどね。現状、僕にはそんな余裕はありません。

でもだからと言って、後者の部分を我慢していたり、なにかを犠牲にしている感覚はなく、粛々と、慎ましく、ミッションを果たすために、この“つまらない人生”を、誇らしく胸を張って歩いていきたいなと思っている次第であります。

はい、今日はここまで。

なんだか意外としっとりとした話になりましたね。

ちょうど昨日(7月30日)、少し久しぶりに、とある企業の経営理念(ミッション・ビジョン・バリュー)策定のプロジェクトの依頼があったこともあり、ミッションにまつわる話をしてみました。

次回は8月の末日に。はじめての夏休みを謳歌する娘は、きちんと宿題を終えているのでしょうか。毎回、公開の直前にヒィヒィ言いながらこのコラムを書いているパパを反面教師にしてもらいたいものです。

ではまた。

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。

Number(ナンバー)922号 三浦知良、50歳 まだやるよ。

308(中古品)(税込)

レビュー

キング・カズ。 その名にふさわしき足跡を、誰もが知っている。 それでもこの生けるレジェンドが、50歳を迎えて なおも現役であり続けると、誰が想像できただろうか。 ロングインタビューで語る50のシリアスな現実と、 友・中田英寿の対談で語る、尽きせぬ夢。 その夢の尊さは、何よりも今号の表紙の表情が、 雄弁に物語っている。 秘蔵写真満載、完全年表を含む総力特集で、カズさんと全世界のサッカーファンに届けます!