経営において大事なのは、
やっぱり現金。
雨森
アイタイスのサイトではすでにおなじみの2人ではあるけれど、いちおう自己紹介でもしておこうか。俺はブランディングの会社をやってる。今は社員が1人とアルバイトが1人。会社にして3年目かな。
吉田
大阪でインテリアとプロダクトを中心にデザイン事務所しております。3人の会社。法人5期目です。
廣瀬
大阪で結婚式や1.5次会、2次会のプロデュースを中心にやっております。社員は3名、会社は明後日で9歳(収録は8月6日)! 10期目真っ最中です!!
雨森
そんな仲良し同級生の3人です。今年で40歳。松坂世代がおおくりします。
吉田
お願いしますー! 広末世代!!
廣瀬
朝青龍世代!
雨森
妻夫木くん世代! で、毎回テーマをもうけるわけやけど、今回は「コロナ禍を経て、変わった経営観」というか。物理的な変化、気持ち的な変化、その辺をフランクに。
吉田
はい!
雨森
でもこのテーマで行くなら、やっぱり廣瀬じゃない? 変化どころの騒ぎじゃないでしょ?
廣瀬
そうやなー。2月末、「学校が2週間休校になります」って宣言されてから、一気に世界が変わった。翌日からパーティーの延期やキャンセルの連絡の嵐で。3月にコロナ真っ只中で、1件だけ式を敢行したのを最後に、もう4ヶ月以上、現場がまったくない。完全にゼロ。
吉田
まさに直撃……。
廣瀬
モロにね
雨森
血の気、ひくな。
廣瀬
今、身体の中に血がない。
雨森
とはいえ、はた目には元気に見えてるけど、そう見せてるだけで、実際は経営的にはマジでしんどいの?
廣瀬
10円ハゲが発見されたこと以外は、元気(笑)。なんかね、あの時、緊急事態宣言が出て、少しの間は「世の中がどうなっていくのかな」って、静観してたのよ。それで、すぐに元通りには戻らないことを察知してから、お金は借りられるだけ借りようって選択を取って。
雨森
つまり、無事にお金を借りることができたから、まだ精神的にも普通でいられる、みたいな?
廣瀬
そうやね。現金は正義というか。とりあえず、事務所の家賃とスタッフの給与が払えない、みたいな事態は回避できたので。ほんま、現金の大事さを思い知らされたわ。
雨森
そうか。そもそも会社って、何ヶ月分くらい入金なくても大丈夫? うちの会社は今のところ、ぶっちゃけ2ヶ月なかったら、チーンやな。
廣瀬
俺はこんな状況やし、今までどおりに自分の給与も取ったとしても、2年は持つくらい借り入れた(笑)
雨森
レベち!
吉田
長め!
廣瀬
こちら、石橋を叩いて渡るタイプです。
雨森
それだけの額が借りられるからすごいわ。それってコロナと関係なく?
廣瀬
いや、関係ありあり。でも今までの決算書でも判断されるから、赤字を続けて出してなかったのが、結果的に功を奏したわ。
雨森
せやな。吉田くんとこはどれくらい余裕ある?
吉田
うちも借り入れを含めて、今は半年くらい。なんとなく少なくとも年内は乗り切りたいなっていう思いで……。
廣瀬
それって、もっと借りられたけど、抑えたん? それともマックス借りたん?
吉田
マックスやな。っていうか、減額されて(笑)
廣瀬
爆!
雨森
それ、なんで減額なん? つまりは業績?? ……って、どこまで聞いてええか分からんけど(笑)
廣瀬
いや、どんどん核心を突いていこ!(笑)
吉田
まぁ、ぶっちゃけ業績よね。決算を見られて。
雨森
まあ、そらそうか。ちなみにスタッフにも、収支って見せてる?
吉田
うちは見せてはないけど、だいたい伝えてます。
廣瀬
俺も同じ。細かくは見せてないけど、なんとなく伝えてるな。フワッと。
雨森
嫁にも共有してないよね? 自分だけが知ってる状態やと、めっちゃしんどい時に、それを誰にも共有でけへん辛さ、ない?
廣瀬
ある!
吉田
うん。それ、辛いよね。俺も嫁さんにもあまり言ってないし。
廣瀬
ただ俺は、子どもが会社で借りてる金額を知ってるで(笑)
雨森
アルマゲドンのブルース・ウィリスとリブ・タイラーやな。家族間での秘密は許さない!
吉田
すごい(笑)
廣瀬
「パパ、そのお金で家を建てよう!」って言われた(笑)
吉田
それは、建てよ。
雨森
うん。建てていこ。
廣瀬
あかん! 借りた金は返さなあかん!!
雨森
業界自体がモロにコロナの影響をくらった廣瀬と比べて、吉田くんはどないなん?
吉田
やっぱりクライアントのほとんどが飲食業やから、うちもモロに。
雨森
あ、そうなんや。じゃあやっぱり厳しいの?
吉田
今はコロナの前から続いている長期のプロジェクトもあるから、まだ大丈夫。でも、この先はどうなるかは分からん。逆にこのタイミングで、会社として攻めに出ているところもあって、まだ状況は読めない感じ。
廣瀬
飲食店は、これから撤退祭が始まるもんな……。
吉田
ほんまにそう。
雨森
うん。飲食はむしろ今からがほんまにきつい時期よね。
吉田
終わりが見えないのが、ほんまに辛い。
廣瀬
俺が知っている2次会をやっているお店も、閉店を決めるところ、増えてきてるから。
雨森
ほぇ〜。
吉田
ほんまに厳しいよね。
廣瀬
まじで、世知辛い。
必要なのは、
自社商品と、営業力。
雨森
状況はそんな感じとして、気持ち的に何か変化はあった? 考え直したこととか。
吉田
うちの場合、受注案件がほとんどやから、それだけではなくて、自社発信の仕事をもっと作り出していかないといけないなって強く感じたかな。
廣瀬
それはウチも。結婚式とか2次会って、こちらから営業をかけてやるもんでもないし。そもそも手がける事業の領域を、人が集まる場のプロデュースだけにしてたのもよくないなと思って。
雨森
受注案件だけでは不安なのは、みんな同じやな。吉田くんの場合、自社発信の仕事って、たとえばどういうこと?
吉田
いちばん力を入れてるのは、自社ブランドの『
DOOGOO』。だから今、新商品の開発に時間とお金をかけ始めてて。
雨森
お、ドーグー!
吉田
いや、『ドゥーグー』!!!
廣瀬
え、ドーグゥ?
吉田
いやだから、『ドゥーグー』!!!!! 名前いじり、やめて(笑)
雨森
でも新商品の開発って、資金的な体力ありきじゃない? 事業として力を入れたところで、投資した分がいつ回収できるかが分からんわけで。
吉田
うん。だからどうしても無理のない程度にはなるよね。去年発売したテーブルがあるから、今はその売り上げを開発の投資にまわしてる。
廣瀬
クラファンが相性、良さそうな気がするけど。
雨森
出た、日本一クラファンを乗りこなす男!
廣瀬
はい。人間力だけで生きてます(笑)
吉田
実はいま、クラファンの準備は、してるねん。
雨森
あ、そうなんや。それって、DOOGOOの商品を増やすの? もしくは別ブランドをつくるってこと?
吉田
DOOGOOのラインナップを増やしていくよ。ブランドとしての厚みを持たせたくて。
雨森
なるほどな。試作品とかも作るわけでしょ? やっぱりリリースするまでにも、けっこうコストってかかるもん?
吉田
それは、モノによる。たとえば金型をつくる必要があるようなものは、それだけで何百万とかかかってくる。だから、現実的な範囲でやってるよ。
雨森
へ〜。今までにリリースしたものは、ぶっちゃけ、元とれてるん?
吉田
うん。元はとれてます。なんとか(笑)
廣瀬
さすが!
雨森
がーさす!
吉田
もちろん、まだまだですけど。
廣瀬
でも元がとれてるだけじゃアカンもんな。
吉田
ほんまそれ。
雨森
確かに、自社ブランドはむずいよな。どっかで撤退も考える必要が出てくるかも知らんし、でもそのもうちょっと先で、大化けするかも知らん。
吉田
そうそう。判断がむずかしい。まずはやっぱり、さっき言った体力が大事になってくる。現金があるかどうかやね。
雨森
本当にやりたいことを続けるためにも、周りで稼ぐ、みたいなことか。
吉田
そうそう。
DOOGOOのアイテムを少しだけご紹介。
すでに一部のアウトドアフリークの中では、絶大な人気を誇っています。
雨森
吉田くんはそうやって自社商品のブランド力向上にチカラを入れるきっかけになったってことで、廣瀬はさらにいろいろと展開したよね、この期間に。フットワークの軽さみたいなのは、がーさすとしか言いようがなかった。クラファンでもすんなり目標を達成してたし。
廣瀬
いやいや、必死のパッチなだけよ。クラファンを始めたときは、とにかくプライドを捨てて、行動を起こすことの大切さを学んだかな。
雨森
それって、どういうこと?
廣瀬
なんていうか、クラファンって、周りの人たちに「助けてくれ!」って言うわけやん? それを不快に思う人も多いかなって心配してたんよね。だけど「むしろ、教えてくれてありがとう!」って、かなりの数の人に言われて。
雨森
あ〜、なるほど。
廣瀬
つまり相手がどう感じるかなんて、どれだけ想像したって分かるわけないんやし、それなら悩む前に動こうって。
雨森
廣瀬がこれまでに培ってきた人望が半端なかったのと、業界的にコロナの打撃が大きいっていうのが容易に想像できたことの掛け算で、すんなりと受け入れられたんやろうな。
廣瀬
そうやと思う、ほんまに。
吉田
すばらしい。
廣瀬
アメヤンと吉田くんにも支援してもらって。あざした!
雨森
いえいえ。俺だって廣瀬にお客さん紹介してもらったし。
吉田
同じく。お世話になってます!
雨森
俺のやってるメディアのお問い合わせから、吉田くんとこの商品のクレームがきたけどな(笑)
廣瀬
(笑)
吉田
アメヤン、ごめん!(笑)
雨森
いや、ぜんぜんかめへん! むしろネタにしてごめん!(笑)
圧倒的なスピードで目標金額を達成。廣瀬社長のこれまでの取り組みと人望が証明された瞬間でした(画像はcamp-fire.jpより)
廣瀬
あとは、この期間中、考える時間がたくさん取れたことで、やりたいことは明確になってきたかな。もともとブライダルに固執するつもりはさらさらなかったし。
雨森
当面いちばんチカラ入れていくのは何なん?
廣瀬
それは、この前、
アメヤンにインタビューしてもらった時に言うてた感じかな。当面は企業向けの動画制作に焦点を絞ってる。ただそれをするとなると、営業が大変ってことに最近気付いて(笑)
雨森
当たり前やけど、どっかで営業の大切さって気づくよな。俺も最近は、そのフェーズに来た感じがあるわ。そもそも、世の中の人の多くが営業やから、なんとなく「特殊技術のない人」って定義してた自分を恥じたことがあった。
廣瀬
www
吉田
営業も技術よね。
廣瀬
営業できるってそれだけで特殊技術よ!
リモートワーク、
あり? なし!?
雨森
社内の体制的にはどう? それこそ、働き方とか、スタッフとの接し方とか。
廣瀬
うちは今月からまたリモートワークを再開してるねん。っていうか、事務所の必要性に疑問を感じざるをえない(笑)
雨森
あらら。それって大阪でも感染者数が減らないから? それとも、もっと根本的に、事務所なんかいらんのちゃう? みたいな?
廣瀬
まず、来月からウェディングの現場が再開される(予定)やねん。となったら、スタッフ全員が毎日事務所に来てて、万が一誰かが感染した際に、全員が濃厚接触者に認定されて自宅待機になってしまったら、誰が現場に行くねん問題があるから。
雨森
おお、なるほど。
廣瀬
最悪を想定して、やな。
吉田
そうなってしまったら、えらいことやもんな。
雨森
吉田くんとこは、リモートもせず?
吉田
そやね。うちはあまりスタンス変わらず。でも、打ち合せとか、出張とかは減ってます。
雨森
それって、オンラインが増えたってこと? もしくは打ち合わせ、出張自体の数が減った?
吉田
現場もできるだけ減らしたし、あとは電話とオンラインに移行やね。
雨森
リモートでいけるか、いかれへんかは、職種にもよるな。
廣瀬
俺はリモートのメリットも少し感じてて。っていうのも、若いスタッフとかが、会社に対する意見をLINEで言ってくれることが増えたんよね。やっぱり、対面で働いてると、他のスタッフに遠慮してることもあるっぽいから。
こんな写真を見つけました。ちょうど20年前。一番左で鼻に指を突っ込んでいるのが吉田社長、真ん中で突っ込んでいるのが廣瀬社長、右で突っ込んでいるのが雨森です。若人たちよ、社長になりたかったら、突っ込もう!
雨森
なるほど。俺は「部下の評価」っていう点で、リモートは厳しいなっていうのが感じたところ。
廣瀬
たしかに。何やってるか分からんもんな
雨森
そうそう。出てきたものだけで評価せなアカンやん? 前に廣瀬とも話してたけど、本当に優秀な守備の選手って、はじめからいいポジションをとってるから、ファインプレーが少ないと。逆に準備を怠ってる選手ほど、球が来てから反応しないとアカンから、捕球した時に、華麗なファインプレーに見えてしまう。会社で考えたら、リモートをしてると、ファインプレーしてる人をより高く評価してしまう部分があるからさ。
廣瀬
出た、野球の話。興味ないくせに(笑)
吉田
いや、でも分かりやすい。
雨森
いやいや、俺は野球のことしか考えてないよ!
廣瀬
www
吉田
野球、興味ないやん!
廣瀬
会社のイメージ映像で、リフティングしかしてないやん! 西村くんとキャッチボールしてあげて!!
雨森
バレたか(笑)
廣瀬
俺もやっぱり、スタッフとは会って仕事がしたいね。そしてお客さんとも。肌を合わせてわかることもあると信じてる。
雨森
ちょっと! セックス的な話はやめて!
廣瀬
せっかく野球から真面目な話に戻そうとしたのに(笑)
雨森
ごめんごめん(笑)。俺が言ってる評価っていうのは、つまり「評価してあげたい」ってことなんよね。成果物に出てこない、でも会社の成長のためにとった行動とかを、リモートやと見られへんからさ。大きな会社こそ、こぞってリモートにしてるけど、その辺、どうしてるんやろ。
廣瀬
そういうところは、おそらく成果物による評価やろうな。俺の弟は外資系やけど、まだフルリモートって言うてたよ。つまりは、目標に対する達成率のみ。
吉田
結果がすべての世界もあるんやね。
雨森
もちろんそれもありやと思うんよね。「俺は数字で現れる部分だけを評価する世界で働きたい!」っていう人もいるやろうし。でも俺はもうちょっとウェットというか。だから会社でも、スタッフたちが俺が気づかないところで、会社のためにやってくれてることもあると思って、月に1回、「こういうことを頑張りました」って報告させてた。だって、会社のことを思ってやっていることやのに、それを社長が見てないからっていう理由で評価してくれへんかったら、寂しいやん? それに、“やってる感”を出すのがうまいやつが評価されるっていうのもおかしいし。
廣瀬
それはたしかに。どんどんウェットで、濡れていこ!
雨森
あ!
吉田
びっちゃびちゃに!
雨森
おまたが?
廣瀬
あかん!
吉田
それはあかん!
雨森
せっかくいい社長感が出てたのに、「おまた」発言をしてしまった。。。
吉田
誠に遺憾やわ……。
廣瀬
でも卑猥な話の時のテンポ感、好きです(笑)。ほんで、1時間って、早いな……。
雨森
あ、そうやね。もう時間やわ。まああまり核心をついてない感もあるけど、これくらいでいいか。あまりハードルを上げず。
吉田
これ、しゃべったら5分の内容やで!
雨森
それを言うな(笑)。まあそんな感じにしよか。続けてりゃ面白いと思ってくれる人もいそうな気がするよ。
廣瀬
そうやな!
吉田
ですね!
雨森
じゃあ今日はいったんこれで! また来月!!
廣瀬
お疲れした!
吉田
お疲れさん!
今月のお仕事
株式会社アイタイス
O-DRIVE powered by 追手門学院中・高等学校
サイトはこちら
廣瀬
10月12日にβ版をリリース予定の新サービス。自分の誕生日より少し前に実家に帰り、親と一緒に写真をカメラマンに撮影してもらう。そしてその撮影したデータでパネルを作成し、そのパネルを誕生日当日に実家に届ける。そんなフォトギフトサービスです。