社長コラム

【月刊あめのもり】2021年6月「経営者たちよ、内側の声を聞け!」

雨森武志

雨森 武志

UPDATE 2021.06.30

さあ、毎月恒例の月1コラムです。
パーマリンク(このページのURL)を見てビックリ。
このコラムも、気づけばもう20回目ですね。

20回もやっているにもかかわらず、公開日(僕の場合は毎月末日の9時半)の直前に
キーボードを叩いている私を誰かきつく叱ってください。。。トホホ……。
1ヶ月間の猶予がありながら、どうしても余裕を持って進められない(涙)

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“身体感覚”をもとに、動く

さて、とても大げさなタイトルをつけた今日のコラム。書こうと思ったきっかけがあります。

それは我々アイタイスが制作・運営のお手伝いをさせていただいている
追手門学院中・高等学校の探究科のオウンドメディア『O-DRIVE』のインタビュー記事。

辿り着いた『ソーシャリー・エンゲイジド・アート』は人生そのものだった。(前編)

インタビューはみゆさんが留学先のオランダからちょうど一時帰国していたタイミングで行われました。

これはアーティストエデュケーターである山本実由さんに、盟友、池谷くんがお話を聞いたもの。
前編・後編と、すこし長いですが、ぜひ読んでいただきたい内容です。

基本的には『教育』という領域の話をしているのですが、
教育関係のお仕事をされている方でなくても、さまざまに気づきがあると思います。

実際に僕がそうでした。
自分で原稿をつくっていながら、それはもうめちゃめちゃビンビン来たわけです。

他のどのインタビューも、すごく面白いんですが、
この山本実由さん(以下:みゆさん)の記事に関しては、頭ひとつ抜けて感銘を受けました。

自身が幼い頃にひどいイジメを受けていたことをきっかけに教育の世界に入ったみゆさん。
といっても、学校の先生ではなくて、教育プログラムをつくる企業にお勤めする中で、
「アート」に出会い、それを追求するために現在オランダへと留学し、
『SEA(=ソーシャリー・エンゲージド・アート』を勉強・実践しているとのこと。

「ん?? そもそもSEAって、なに?」と思った方は、ぜひ記事を読んでみてください。
分かったようで、分からないようで、分かったような……気分になりますよ(笑)

そんなインタビューの中で特に僕がビビビ! と来たのは、『身体感覚』っていうキーワード。

他にもいろいろな体験をしましたよ。例えば「肘の声を聞いてみよう」とか「肘の声を聞いた時の動きはどういうものか」とか(笑)。

身体にしか分からないことがあるし、自分の中に開花されていない感覚がこんなにもあったんだってことに気づけました。

人に自分が伝えたいことを理解してもらいやすくするために言語化することは大切だけど、その前の段階で「自分は何にどういうことを感じ、どう生きたいのだろう」「何を伝えたいのだろう」といったことに気づくために、そして言語化だけでは判断できない部分においては、身体感覚を指標にして行動していく

そもそも自分の身体感覚に気づけるようになっていないといけないし、感性も備えておかないといけない。それをどうやって養うかっていうと、いま話した授業のようにアクティビティをするしかないんですよね。

該当の記事から、重要と思われる箇所をいくつかピックアップし、引用させてもらいました。

「教育の話って、国語とか数学に関するものじゃないの?」と思われた方。
はい、そういうことではありません。あしからず。

またみゆさんは、オランダで「身体感覚」に重きを置いた『SEA』に触れたことで、
東京で生活をしていた時と比べて、いまがとても幸せだと語ります。

私いま人生でいちばん幸せなんです。っていうのも、東京で働いていた頃って、常に焦燥感みたいなものに駆られて「もっと」とか「成長」「向上」みたいな感情に迫られるというか、止まることは怠惰と見なされてしまうというか、資本主義の世界で評価される「成長」をし続けることだけが歓迎されるみたいな感覚がありました。

「がんばる」って何なんだろう。「すごい」ってなんだろう。「成長」「向上」ってどこに向かったものなんだろう……といった風に、ずっと疑問をもっていました。

SEAを経験したり、アートのある環境にいたりすることで「こんな状態の自分に今まで出会ったことがない!」っていうくらい変わりました。本当に気持ちのいい状態っていうか。

身体感覚ってなかなか言葉では表せないんですけど、指標にしていたものが変わっていったというか、見えてきたっていう感じ

例えばこれまでだったら「自分がやっているアートのプロジェクトを発展させる・数を増やす」といった指標を持っていた気がします。それが今は、自分自身の感覚を指標にして、より身体感覚のもとで動けるようになった

身体が返事をしている感覚ですよね。今の私には常にそれがあるんです。

いったん引用はここまで。

ここでみゆさんが話している“本当に気持ちのいい状態”。

たまたま僕も最近、同じようなところに意識が向いていたこともあり、めちゃめちゃ共感できました。

意識を内側に向けることで得られる気持ちよさ

ここからは僕に訪れた変化の話をすこし。

【1】デスクトップパソコンを撤去しました。

実は数ヶ月前、僕は自宅にある仕事用のデスクから、デスクトップのパソコンを撤去しました。
大人になってから、デスクには絶対にパソコンがある状態だったので、これはかなり大きな変化です。

すこし振り返ってみましょう。

はじめて自分でMACを買った大学生の頃の実家の部屋。ここから「デスクにはパソコン」が始まります。

これも実家の先ほどと同じ部屋。もちろんデスクにはパソコン。

大阪で独り暮らしをしていた部屋。もちろんデスクにはパソコン。

上京して最初に住んだ横浜の部屋。もちろんデスクにはパソコン。

その後に住んだ三軒茶屋の部屋。もちろんデスクにはパソコン。

いまも住んでいる家の仕事部屋。フリーランス時代。もちろんデスクにはパソコン。

つい最近までこの状態でした。もちろんデスクにはパソコン。

それが、、、ジャジャーン!!!!!

まさに先ほど撮りました。ない! ないぞ! ねえ!! ねえじゃないか! ナッシング!!!! デスクにパソコンが!

この歴史的変化(僕的には)には、もちろん理由があります。

そもそも僕は「22時以降はスマホを見ない」というルールを自分に課していて……

これをやる理由は、ずばり情報を摂取しないため。

「数億年前からアップデートされていない」と言われる人間の脳のスペックに対して、
放っておいても入ってくる情報の量は各段に増えています。

その状態に違和感を覚え、できるだけ情報から距離を置くために、夜はスマホを手放すことにしています。

最近は1歳半になった息子もスムースに寝付くようになったので、22時と言わず、
21時半くらいにはスマホとはサヨナラ。玄関にある充電器に置いていきます。

なんですが……

結局パソコンがあったら同じじゃね?

って思ったんですよね。

だってデスクに座れば、無意識にマシンを立ち上げるし、
そうすれば、ヤフーも見るし、SNSも見てしまうわけで。

ま、そんな理由で、思い切ってパソコンはなくしました。
「右端にノートブック、見えてるぞ!」っていうツッコミはナシで。いちおう、ね。仕事で何があるか分からないので……)

ここで重要なのは、外とつながらない時間、つまり自分自身に意識を向ける時間が増えたっていうことです。

【2】1週間を振り返っています。

家のデスクからパソコンをなくしたのとほぼ同じタイミングで始めたこと。それは『1週間の振り返り』です。

この“振り返り”をやる中で大事なことは、手書きであるっていうこと。

その中で例えば、1日の時間軸を書く上のスペースと、
体重やスマホ使用時間を書く下のスペースをキレイに分けるために
わざわざモノサシを使って、まっすぐに線を引く、みたいな、
いわば自己満足とも言える行為を通して、
なんとも言えない満足感が自分自身に訪れていることに気づきます。

この感覚をめちゃめちゃ大事にしたい。

ちなみに同じ『O-DRIVE』の別のインタビュー記事で、みゆさんと同じく
独自のアプローチで教育に携わっているサルディ佐藤比奈子さんが、こんなことを言っています。

16歳の頃から日記をつけています。主に英語で自分なりに言葉を紡いでいって、ページによっては絵が添えてある。実はこれ、今までかれこれ20年近く続いている習慣なんです。

この日記に関しては、誰にも何にも言われないので、自分にとってのセーフスペースであり、ペンを持ってそのノートに向かっている時こそがマインドフルネスな瞬間なんです。

これとまったく同じ感覚だと思います。

赤ペンと黒ペンを使い分けたり、前述の通りわざわざモノサシを使ってきちんと線を引いたり。
その一つひとつが自分にとってマインドフルな瞬間になっていくのを実感できるようになりました。

それ以降、この振り返りの時間が楽しみで仕方ない。これ、マジです。

最近は早くこれを書きたくてしょうがないくらい、気持ちがいい状態をつくれます。

ちなみに振り返りの中にある『夜時間』って何してるの? と聞かれることがあって、
「はっきり書けないやましいこと?」と勘ぐる人もいれば、
ちょっと“意識高い系”の行為、つまりは『瞑想』とか『ヨガ』とか、
そういったことを期待して聞いてくる人もいるかかもしれません。

なので、ここではっきりさせておきましょう。僕の夜時間の大半は……

仕事です(涙)

悲しい……。情けない話ですが、ただただ会社だけではさばき切れない仕事をしています。

もうちょっときちんと説明すると、本当は少しだけ違っていて……

片付けなどの家事

フットマッサージャーで足のマッサージ

ストレッチ(ストレッチポールみたいなものの上に寝転ぶだけ。これは夜の間に2〜3回やる)

夕刊を読む

1日の振り返りを書く

というのが毎日やるルーティンです。ここまでやって、後は仕事です。

【3】くつを磨いています。

すこし話が脱線したので、本論に戻りましょう。

『デスクからパソコンを排除』『1週間を振り返り』に加えて、
実はもうひとつ同じタイミングでスタートさせたことがあります。

それは毎週日曜日の夜に行う『くつ磨き』

画像はすべてインスタのストーリーに上げたもの。

「今週無事。」とか「それが何よりのご加護。」とか書いているのは……

僕が大好きなTHA BLUE HERBというヒップホップグループの『今日無事』という曲の歌詞のパロディです。

これは文字通り、家族の靴を磨いているだけ。
でも子どもが保育園で使う上靴なんかもあって、意外と時間がかかります。

その間、まったく他のことはしない。とうぜんスマホもPCもみない。
ただ黙々と靴を磨くっていう時間が流れていきます。

それをやっているうちに、これまたなかなか上手く言えないんですが、
すごく気持ちがいい瞬間が来るのが分かります。
「あ、いま自分がすごくいい状態にあるな」って気づくというか……。

う〜ん、あの感じ、ぜんぜんうまく説明ができねえ!

自分に意識を向けて、内側の声を聞く。

だいぶ話がとっ散らかってしまいましたが、言いたいのは
「自分が気持ちがいいと感じる瞬間に対して意識的にありたい」っていうこと。

それがどういうタイミングで来るのか、どんな行為を通して得られるのか、
実践を通して感覚的に把握できるような体をつくっておきたいって感じです。

それはかなりパーソナルなもので、自分で見つけるしかないと思います。

例えば僕だって、いわゆるイケてる経営者がそうであることが多いように、
SNSのフォロワーがたくさんいて、その発言が注目され、大きな影響力を持ち、
ツイートをすればたまにバズる
、みたいな状態に憧れがないと言えば嘘になります。

でもどうやら僕の気持ちよさはそこにはない。

インプット情報収集が大事だと叫ばれがちなこの時代において、
21時半には外界との接触を断っているわけですから。

今は「いいね」の数より、もっと気持ちよくなれる瞬間というか、
自分がじんわりといい状態になれるタイミングがどこなのか、
内側に意識を向けて、しっかりと体の声を聞けば、分かるような気がしています。

またまた余談ですが、日帰りで大阪に出張に行った昨日(6月29日)もそうでした。

僕はここ数年、理由は分からないのですが、新幹線で文字を見るとすぐに酔ってしまいます。
本も読めないし、もちろん仕事もできない。寝るかボ〜っとするしかないわけです。

昔は席についた瞬間、スマホで情報収集をしたり、普段はあまり読めない本を読んだり、
パソコンを立ち上げてバリバリと仕事をしたり……と、
2時間半もあるこの時間をいかに有効活用するか、必死だった記憶があります。
なんというか、それができるビジネスマン像だったから。

でもそれができなくなった今、特に何もせず、
すこし物思いにふける感じで東京〜大阪間を移動した時に、
なんとも言えない気持ちのいい状態がじんわりと体の中に生まれていることに気づきます。

これです。これ。この感覚に意識的になって、自分の体から出てくる感覚を信じたいわけです。
結局先に書いた「できるビジネスマン像」は、自分じゃない人がつくり上げたものでしかないんですよね。

さらに余談としては、僕はこの1〜2年くらいかな?
いま連絡をしないと、逆に相手に迷惑がかかるような状態、
もしくはクライアントに著しい不利益が生じるような状態でない限り、
19時以降に仕事の連絡をいっさい入れないようにしました。

特にこれは、部下や仕事を発注している外部スタッフなどには徹底しています。
みんなそろそろ気づいているでしょうね。「19時を超えたら、もう雨森さんから指示がくることはない」と。

やはり連絡をしてしまうと、また連絡がくる。そしたらまた連絡をしなければならない。
その結果、大切にしている生活のリズムやルーティンが崩れるのを嫌い、そうすることにしました。

ビジネスの世界では「即レス」が尊ばれがちだと思いますが、
僕はもう完全にそこから距離を置いています。
そうすることで、自分が気持ちがいい状態をつくれる気がするから。

つまり、冒頭に紹介したみゆさんの発言「私いま人生でいちばん幸せ」というのに近い感情を
僕も僕なりに気づけるだけの状態を築き上げつつあるというか。
最近、本当にいい感じなんですよね。

はい、今日はここまで。

本当はここからが主題で(!!)、その気持ちのいい状態を
個人だけではなく、企業に中に生じさせて、経営に活かすための話、
つまり『カンパニー・マインドフルネス』(いま僕が命名!)が出来ないかっていう話をしようとしていたんですよね。

でも、もうメルマガ配信&コラムアップの時間だし、めちゃめちゃ疲れたので終わりにします(爆)

要は、顧客(Customer)や競合(Competitor)の分析、
もしくは事業戦略やプロモーションなど“外”に意識を向ける前に、
そういった情報や思考は一時的にいっさい排除することで、
まずは徹底して自社(Company)を知り、会社にとって気持ちのいい状態に気づける
企業としての“身体感覚”を備えられないかみたいな話。

そしてそれを一種のブランド構築のサービスにして
クライアント企業に提供できないか
、みたいな話を続けるつもりでした。

だからあんな大げさなタイトルをつけたわけです。
でもこれはまた次の機会にしましょう。

まとめると、話は最初に戻ります。

コラム、もっと余裕を持って進めろよ!!

そこもルーティンに組み込めよ!!

ってこと。は〜、情けない……。

(気持ちのいい状態から一気に抜け落ちました。ではまた。)

Editor’sNote

雨森武志

雨森 武志

五反田に小さなオフィスを構えるブランディング&クリエイティブカンパニー、アイタイスの代表です。

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レビュー

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