目次

UPDATE 2020.02.19@Minamihorie

Vol.04

マイメンときどき、マイガール

Vol.04 パーソナルトレーニングジム LiteraMilita
武部紘一郎氏

アイタイスの社長、雨森が、自身の友人の中で、自分らしさを失わずに生きている人や、クセの強〜いお仕事をしている人などをピックアップしてお話を聞く「マイメンときどき、マイガール」。4回目となる今回は、前回に引き続き高校の同級生にお話を聞きました。高校在学中に海外への留学を果たし、さらに卒業後にアメリカに渡ってスポーツトレーナーになる夢を叶え、大阪のおしゃれタウン、南堀江に自身のパーソナルトレーニングジムを構えた武部くんです。

収録日 : 2019.12.06

対談メンバー

雨森武志
株式会社アイタイス 代表取締役

タケッチが自身の店舗を構えたと聞いて、
ずっと行ってみたいと思っていたら
こんなカタチで叶いました!
ただ、若い頃と変わらずビシッと
絞られた体型を維持しているタケッチの前に
登場するのは、めちゃめちゃ恥ずかしかったです。
この、お腹め……。

武部紘一郎
パーソナルトレーニングジム LiteraMilita

高校時代のクラスのムードメーカー、
アメヤンからのお声がけ。
対談だけでは物足りないあっという間の時間やった!
同級生は今年で40代の仲間入り。
身体の不調や体力の低下を
ひしひし感じるお年頃。
いつまでも元気な仲間と集まりたい!
みんな運動しよや!

はじめに

武部くんと雨森は、高校の同級生。1年と3年で同じクラスになる。

武部くんは、高3の時にフィンランドに留学。卒業年度が違うため、高校卒業後の経歴はまるで分からない状態。

SNSなどで、自身の店舗を構えたことを知り、雨森はずっと話を聞きたいと思っていた。

同級生である2人は、互いを「タケッチ」「アメヤン」と呼び合っている。

いつもの通り、大阪弁ままでお届けします。

テーマ1『留学、さらに留学、そして帰国後……』

タケッチとは高1と高3で同じクラスになったよね。でも3年生のときに、タケッチはフィンランドに留学するために休学をしていたから、同級生ではあるけど、卒業のタイミングはタケッチの方が1年あと。だから、高校を卒業してから、どういう人生を歩んだのか、ぜんぜん分からへんわ。
そうやね。俺が高校2年の時に、親と進路の相談をしていて。その中でチラッと「アメリカでスポーツのトレーナーを目指したい」みたいなことを言ったんよ。そしたら、しばらくして親父が「本当に行きたいなら、もう行けよ」って。当時の俺はそこまで真剣に考えていたわけではなかったのに(笑)
むしろ親の方が真剣に考えてたんや。
そうやねん。で、「こういうのがあるよ」って、ロータリークラブ(海外への留学を志望する日本の学生を支援する財団)を教えてもらった。その面接と試験に受かって、フィンランドに1年間、行ってきたんよ。高3の夏くらいからかな?
クラスメイトみんなでビデオをつくって、タケッチに送ったよね。
あ、来た来た。体育祭とか遠足とかの(笑)
俺らが通っていた高校は進学校やったから、ほとんどの生徒は、有名大学に行って、さらに大企業に入るっていう道を選ぶわけやん? それとは違う人生を歩くことへの抵抗みたいなものはなかったの?
それはあんまりなかったかな。アメリカに行って、スポーツトレーナーの資格を取るっていうのが、すでに夢としてあったから。
お父さんやお母さんも「好きなことをやりなさい」っていうスタンスやったと。
うん。むしろ「早く行け!」っていう。
それで高校を卒業してすぐにアメリカに渡ったんや。でも、なんでアメリカなの? 日本では出来ない勉強やったってこと?
そうやねん。高校の時に、部活をしてたやん? アメヤンはサッカーをやってたし、俺もバレーをやってた。で、スポーツをしていると怪我をするよね? その時に、例えばテーピングの巻き方を調べたくても、当時はインターネットがなかったから本を読むしかなくて。そしたら、そういう本を書いている人が、アメリカのアスレティックトレーナーの資格を持っている人ばっかりやってん。だから、こういう仕事をするなら、アメリカに行かないとあかんのかなって。
じゃあ最初から一般人ではなくて、アスリートの体をサポートする仕事をしたかったと。
そうそう。だから、アメリカの大学の体育学部に入って、その勉強をしてたよ。
それって、つまりはお医者さんなの?
いや、どちらかというと、理学療法士かな。日本では病院に勤務している人が多いよね。たとえば事故に遭った人が、手術をした後にリハビリをしないといけないから、それを理学療法士と一緒に病院の中でやるねん。高校の時の俺は、それのスポーツ選手バージョンをやりたかった。
ってことは、病院に勤務するのではなく、チームにつくってこと?
そうそう。たとえば日本のJリーグにも、アメリカでアスレティックトレーナーの資格をとった人が、1つのチームに複数人いると思うよ。

清潔感があって、明るい空間。トレーニングにも熱が入りますね!

大阪でも有数のおしゃれタウン、南堀江にあるだけあって、内観もおしゃれです。
お医者さんになろうとは思わなかったん? いわゆるスポーツドクターみたいな。
最初はそれもちょっとは考えたけどね。でもドクターって、一大事の時しか選手との接点がないから、ちょっと距離があるというか。ほんとうにヤバい時に出てきて、手術をすると手が離れてしまう。俺はもっと選手と親密に関わりたかったから。
そうなると、トレーナーの方がいいよね。競技はなんでもよかったの?
うん。それはこだわりはなかったかな。でも日本で仕事をするってなると、プロスポーツは野球とかサッカーくらいしかないからさ。
あ、そうか。個人じゃなくて、チームってなると、日本ではかなり限られるよね。じゃあアメリカでは、ずっとそういう勉強をしてたんや。
いや、最初の1〜2年は、日本の「一般教養」って言うんかな? 数学とか理科とか、特に専門的ではない勉強をしてた。向こうは編入するのが一般的やから、はじめはどこの大学でもだいたい同じことを学ぶんよね。で、どこの大学を卒業したかっていうのが、けっこう大事になってくる。
たしか6年、向こうにいたんよね?
うん。3年はロスで、3年はモンタナ。ロスにいた時は、さっきも言ったように、授業で専門的な勉強をしていたわけではないけど、その大学にあるチームのトレーナーのサポートをしてた。もちろんそのチームにも、俺がなりたいと思っていたアスレティックトレーナーがいるからさ。その人に「お手伝い、させてください!」って直談判して。
おぉ、行動力がすごい!
いや、まあでも、その職業につくために、わざわざアメリカまで行ってるわけやからね。

しっかりと「Koichiro Takebe」と書かれていますね!
じゃあ無事に卒業して、資格もとって。
そうそう。その時で、26歳とかかな? 卒業後は日本に帰るって決めていたから、アメリカにいながら就活をした。でも日本のスポーツチームの求人情報がオープンにされてなかったから、考えられるプロチームすべてに、エアメールで勝手に履歴書を送ったんよ(笑)
すごい(笑)
野球の12球団と、Jリーグ、Vリーグ、Bリーグ……全部で50チームくらいやったかな? 球団の事務所の住所を調べて。でも誰宛に送ったらいいか分からんから、とりあえず社長の名前を書いたり(笑)。そしたら、3チームから返事があったのよ。興味があるから、帰国後、すぐに会いたいと。
へぇ。じゃあそのどこかに雇ってもらる予定で、帰国したんやね。
うん。でも日本に帰ってきて話を聞くと、ちょっとイメージしていたのと仕事の内容が違うなって。っていうのも、アメリカでは1つのチームに複数人のトレーナーがいるのが、当たり前なんよね。俺が専門にやっていたアスレティックトレーナーもいれば、「ストレングス」と呼ばれる、選手の筋トレをサポートする人もいる。それぞれに専門性を持っている人が、何人もいたわけ。
日本のチームは、そうじゃなかったんや。
そうやねん。やっぱり、そこまで資金も潤沢にないからね。だからアスレティックトレーニングとストレングス、さらに俺は英語ができるから、外国人選手の通訳も含めた3つをやってほしいって言われて。
それは、3チームとも?
そうそう。で、俺はアスレティックトレーニングはもちろんできるし、最悪、英語もなんとかなるけど、ストレングスは専門外やからさ。アメリカでは完全に別の職種やったからね。つまり、通常の状態をゼロとしたら、マイナスの状態、例えば怪我をしたり、どこかに不調を抱えていたり、そこからゼロに戻すのが、俺の専門。で、ゼロからプラスに持っていく、例えばパフォーマンスを良くするとか、体を強くするとか、そういうのがストレングスの人の担当で、それは俺はできない。でも、日本ではストレングスもやってほしいって言われて。
なるほどね。マイナスからゼロも、ゼロからプラスも、俺みたいな素人からしたら、わりと同じような気もするけど、プロのレベルやと、ぜんぜん違うんやろね。
まあストレングスも、見様見真似でやろうと思ったらできたかもしれないけど、相手もプロのアスリートやからさ。おそらく専門じゃないってバレるし、そうすれば、どのみちいつかは契約も切られるやろうと思って、結局ぜんぶ断ったんよ。で、そういう日本の状況を知って、チームに入るためには、ストレングスもできないとダメってわかって。それを学ぼうかなと。でも、当時は今とちがって、パーソナルトレーニングはほとんどなかったのよ。
そっか。ライザップとかができるのは、もっと後やもんね。
うん。普通のジムとか、フィットネスクラブとかしかなかった。でも東京の方には、ポツポツとあったんよ。一部の富裕層とか芸能人、スポーツ選手とかが通うような。だから、そこで勤めることにしてん。
あ、タケッチって、東京にもいたんや!
そうやで。2年くらい、恵比寿で働いてたよ。ここよりはもうちょっと大きい、パーソナルトレーニングのジムに。そこで、研修を受けたりしながら、ストレングスに関しても勉強してた。
スポーツ選手とか芸能人ってことは、俺らが知っているような人もいたの?
そうやね。野球なら巨人とか横浜とか、いわゆる在京球団の選手とか、ゴルフ選手、サッカー選手もちょこちょこいたかな。でもそういう人は、もっとベテランのトレーナーさんが指名されていたから、俺はあんまり担当できなかったけど。
あ、そういう仕組みなんやね。美容院の担当みたいな。
そうそう。はじめは新規のお客さんを担当して、そこからは、指名してもらえるかどうか。だから俺は、アスリートではなく芸能人ばっかりやったかな。
え、例えば?
そうやな……、例えば、割とお騒がせ系のあの女優さんとか。
はいはい、最近なにかと話題の!
あとは、元〇〇〇48のエース級の女優さんとかね。
なるほどね。でも当然、スポーツ選手とお仕事をしたかったんよね?
うん。それが大前提にあって、そのために経験を積んだり、業界のことを学んだりしてたよ。

テーマ2『日本での仕事。そして独立へ。』

2年間、東京で働きながらストレングスに関する勉強もして、その後、大阪に帰ってきたと。
そう。大阪にもパーソナルトレーニングのジムができたから、そこに勤めることになって。それがつまり、独立する前の職場なんやけどね。しかもそこは、ジムを運営しながら、スポーツチームと契約して、トレーナーの派遣もやっててん。それって、当時の大阪ではすごく珍しいことで、その派遣されるトレーナーに選ばれれば、自分がやりたかったことができるなと。
実際、チームについたの?
いや、俺はそこでは最年少やったし、他のトレーナーはプロのスポーツチームで働いていたようなすごい経歴を持った人ばっかりで。だから最初の1年くらいは、お店でパーソナルトレーニングをしてた。で、「このままでは選ばれない」「これはヤバい」と思って、めっちゃ頑張ったんよね。そしたら、少しずつスポーツ選手とも仕事をできるようになって。最初についたのは、ゴルフの上田桃子選手。
え! いきなりのビッグネーム!!
そうやねん。彼女がアメリカに挑戦する少し前で、俺は英語もできるし、一緒にアメリカに行くっていう話もあったよ。結果的には、いろいろな条件面が合わなくてなくなったけどね。
へ〜。それって、上田桃子さんの、つまりは何をやるの?
毎日のトレーニングとケアやね。まずは練習前にストレッチとかウォーミングアップを一緒にやる。そこから彼女はゴルフの練習に入るから、その間は、何か体に問題が起こらない限り、俺は特にやることはないけど。で、練習が終わったら、トレーニングとケアをまた俺がやるねん。あとはマネージャー的な業務やね。例えば運転をしたり、ご飯を一緒に食べたり。
なるほどね。じゃあ例えば「もっと飛距離がほしい」 とか、そういう今かかえている課題とかに照らし合わせたトレーニングをレクチャーする、みたいな?
まあそうやね。当然、ゴルフの技術的なことは、その専門のコーチがいるから。俺は体に関わることをやる。
個人スポーツでも、トップレベルの人たちは、そういうトレーナーをつけてるってこと?
ん〜、まあでも専属で契約している選手は、それほどいないかもね。金銭的な理由とかもあって。だいたいそのアスリートの年収のパーセンテージで、トレーナーのギャラも決まるねん。
あ、そうなんや。じゃあ同じ内容のトレーニングをやっていても、そのアスリートがどれだけ稼いでいるかで、トレーナーへの仕払い額も変わるんや。
そうそう。
まあでも、念願のスポーツ選手と仕事ができるようになったってことやね。

少しだけ体験させてもらいました。日頃、不摂生しているもんで、情けないやら、恥ずかしいやら……

「あれ? 高校の時のアメヤンは、もっと動けてたのに……」の顔ですね、これは。
上田桃子の後には、関西大学に派遣されることになって。関大では、俺が専門にやってたアスレティックトレーニングだけを担当してたよ。
ストレングスはまた別の人がいたってことね。それって、競技は関係なく?
うん。サッカーもあれば、アメフトもある。全部で52クラブかな? 計1500人くらいを担当してた。
えぇ! それを一人で?
そうやねん。でもそれはどう考えても無理やから、「学生トレーナー」っていう制度をつくってん。俺がやっている仕事に興味がある学生たちを集めて、最初は同好会みたいな感じで手伝ってもらってた。最終的には、「ATルーム学生トレーナー部」っていう部になったんよ。
へー、すごい。じゃあその部員たちは、タケッチの持っている知識とか方法論をもとに、活動しているってこと?
うん。当時はね。今はまた別のトレーナーになっているから、その人のやり方になっているやろうけど。

1階には全国展開する人気飲食店「good spoon南堀江店」が入る、おしゃれなビルにタケッチのジムもあります。
何部の選手を担当することが多かった?
まあアメフトかな。あとは野球とか、サッカーとか。
トレーナーは、試合には行かないんよね?
試合も要請があれば行くねん。アメフトはいつも行ってたよ。アメフトって、1試合に1回は、骨折とか脱臼、脳震盪みたいな大きな怪我が起こるんよね。そもそもアスレティックトレーニングっていうものが生まれたのも、アメフトから。だからアメフトでは、サイドラインのところにアスレティックトレーナーがいるのが普通なんよね。
あ、そうなんや。でも、たとえば試合中に選手が骨折したとしても、そこでタケッチができることはないんじゃないの?
いや、応急処置と搬送まではやる。その後、病院から連絡が来て、選手が帰ってきたらリハビリを一緒にやる感じかな。
なるほど。じゃあプロではないとは言え、そこでは、ずっとやりたかった仕事をやれたわけよね?
そうそう。だからすごく楽しくやれたよ。でも、大学って企業との癒着みたいなものを嫌うから、定期的に契約先を変えるんよね。普通は3年ごとに変えるんやけど、俺の時はなぜか5年やった。だから、5年間、ほぼ毎日、関大にいたね。
あ、そんなにも。もはや、関大が勤め先やね(笑)
うん。で、契約が終わったから、そこからはまたジムに戻ってトレーニングをしてた。でも立場が上がって、現場というよりは、経営とか人事を担当することになって。最後の3年くらいは、数字を見てばっかりやったな。
そこから、自分のジムを構える感じかな。独立しようと思ったきっかけはあったの?
関大との契約が終わった時点で、ちょっと思っててん。やっぱり会社勤めやと、いろいろな制限もあるから。そこからの3年間で、資金をためたり、場所を探したりしてたね。

テーマ3『独自の強みを評価され、集客はマックス!』

独立して、この立派なジムを構え、3年目ってことよね? 調子はどう?
うん。まあまあ軌道には乗ってきてると思うよ。
集客はどうしてるん?
今は、半分はネットからの問い合わせで、半分は既存のお客さんが紹介してくれる感じかな。
メインのターゲットは? アスリートではないんよね?
うん。始めた時には、40〜50歳くらいの女性で、ジムに行ったことがない初心者とか、自分が行けそうなジムを探している人を想定してたかな。やっぱりそれくらいの年齢になると、何かしらの不調を抱える人が多くて、特に女性は更年期障害とかもあるから。
じゃあ、今はアスレティックトレーニングっていうより、ストレングスに近いことをやっているんよね?
そうやね。でも俺にはアスレティックトレーニングのバックグランドもあるから、怪我や病気に関する相談も受けられる。それって、例えばライザップのようなところでは難しいねん。入会すらできないこともあるし。ほとんどのジムは、やっぱりゼロからプラスを目指すものやからね。
そっか。タケッチは、もともとマイナスからゼロに戻す方が専門やから、その辺の違いというか、強みはあるよね。
そうそう。だからうちに来るのは、どこかが痛いっていう人が多いね。
まあ50歳とかなると、どこかしら痛いよね(笑)。30代の俺ですら、けっこう痛いもん。肩とか腰とか。
そうなってくるよね。でもそういう症状を持っている人が、どういうトレーニングをすべきかって、なかなか分からないやろうから。俺にはそのお手伝いができるよ。
で、実際はやっぱり40〜50代の人が多いの?
いや、そうでもないねん(笑)。いま下は13歳、上は78歳まで来てるよ。
78! そういう人は、どういう目的?
意外と70代は多いで。半分くらいは、何かしら大きな病気をして、その後のリハビリとして来ている人かな。例えば、片足に麻痺が残っているから、そのケアとか。あとは、杖をついてるけど、普通に歩きたいっていう要望を持っているとか。
なるほど。そういうのは、アスリートではないとはいえ、タケッチが得意とする、マイナスをゼロに戻すためのアスレティックトレーニング的なアプローチやね。じゃあ13歳は?
その子は、プロのゴルファーを目指している子。だから、ストレングスがメインやね。
マイナスからゼロにっていう人と、ゼロからプラスにっていう人、どっちが多いの?
今は普通の人、つまりゼロからプラスにっていう人が7割くらいかな。あとの3割が、何かしらの症状を抱えていて、普通のジムには通えない人やね。「他に断られたから来ました」っていう人も、たくさんいる。
タケッチはアスレティックトレーニングをやっていたこともあって、基本的に断ることはないってことか。
とりあえずどんな人でも話はかならず聞いてる。そもそも何かしらの怪我をしたとしても、病院って基本は3ヶ月間しか、リハビリをやってくれへんねん。いっぱい患者さんがいて、次から次へと入ってくるから。そうなると、その後にリハビリをできるところがあまりなくて。ジムは断られるし、フィットネスクラブは誰かがついてくれるわけじゃないから、危ない。だから、うちみたいなところを探している人はわりと多いみたい。

アスレティックトレーニングをベースに、ストレングスまでをカバー。だから、誰でも通えます!
一般的なジムと、タケッチがやっているようなパーソナルトレーニングジムの違いはどういうところなの?
普通のジムのメリットで言うと、自分の好きなタイミングでできるってことよね。もちろん予約もいらない。逆にデメリットは、トレーニング法が分からないっていうのが大きいんじゃないかな。だから、とりあえず行って、よく分からないけど並んでいるマシンを順番にやっていこう、みたいな人が多い。でもそれだと、自分の理想としている状態に到達するまでに時間がかかるし、さらに時間をかけたとしても、その方法が正しいかどうかも分からなくて、最悪の場合、頑張った結果、どこかが痛くなる、みたいな。
うん、あるある。
その点、パーソナルトレーニングなら、マンツーマンで見てもらえるから、効果っていう側面からも、安全っていう側面からも、いいよね。
そうやなー。あと、俺もそうやったけど、やっぱり人間って弱いから、ジム自体に行かなくなるよね(笑)
うん。それが一番の課題よね。もちろんパーソナルでも同じ問題はあるけど、まだ少ない。やっぱり予約しているし、行かない場合は俺に電話をしないといけないから。その面倒くささとか、後ろめたさ、みたいな(笑)。癖付けしやすいと思うよ。予約の必要がない一般的なジムは、自分の意思次第。1年以上きちんと通い続けられる人って、10%くらいらしいから。
いやー、そうやねん。俺も行かないまま、月謝だけが引き落とされてるっていう状態が、何ヶ月もあったわ。
パーソナルやと、そこが少しだけ解消されるよね。もちろん、それでも辞める人はいるけど。
契約はどうなってるの? いつ入ってもいいし、いつ辞めてもいいの?
うちはそう。月額制とかではなくて、来た分だけ払ってもらってる。
トレーニングの目的というか、効果というか、つまり筋肉をつけたいのか、痩せたいのか、そういうのはタケッチはなんでもいいの?
基本的にはね。ただ、ライザップ的な「短期間で10キロ痩せられる!」みたいなのはやってないけど。それもやりたいなら応えるけど、ほとんどリバウンドしちゃうし、あんまりオススメはしてない。
なるほどね。じゃあ経営的に安定させるとなると、新規獲得もそうやけど、継続率も大事やね。
うん。でも俺一人しかトレーナーがいなくて、そんなにたくさんも抱えられないから。いま、もうマックスくらいまで来てるんよね。
あ、そうなんや。すごい! それは自分では何を評価されていると思う?
なんやろう。まずはもちろん、効果が出ているかどうかかな。あとはしゃべりやすさとか。でも結局「この人とは合うな」って思った人しか残らないけどね。俺自身も話しやすい人が、残っていく。
まあ、お客さんとはいえ、やっぱり人と人がやることやから、合う・合わないはあるよね。
まあね。例えば、めちゃめちゃ偉そうな人とかは、まあ正直、イヤやん?(笑)。もちろん、そんなことは態度に出さずにやるけど、やっぱり続かないね。

持病(?)の猫背について、相談中。背筋を強くするべきだそうです。
ジムを運営する上で、心がけていることってあるの?
ここを始めた時には「ホームドクター的な存在」になりたくて。何かあった時には、この先生に聞こう、みたいな。それのトレーナー版かな。医者に行くほどでもないけど、ちょっと調子悪いとかさ。あと「これって、冷やすべき? 温めるべき?」みたいな、すごく些細なことやけど分からない、みたいなの、あるやん? そういうのを、気軽に相談できる場所にしたいと思って。
医者にかかるって、割とおおごとやもんね。ハードルが高いというか。
そうそう。だから、もっと気軽に聞けるような。お医者さんって一般人からしたらやっぱり距離感があるし、先生に体のことを相談するのってわりとたいそうなことやん? 特に大きな病院になればなるほど。問診票を書いて、待合室で座って待って……って。どうしても気軽ではないよね。
ちなみに、タケッチと同じ規模の同じ業態の人って、増えてるの? こうやって、マンションの一室を借りて、設備も自分で整えてっていう。
いま、めちゃめちゃ増えてるで。東京では減ってきているって聞くけど、大阪はこれからまだ増えると思う。
そうかー。我々の耳に入ってくるのは、ライザップみたいな大きなところばかりやけど、やっぱり増えてるんやね。じゃあタケッチも、その中で選ばれていかないといけないってことか。今後はどういう展望があるの? 組織として大きくしていくイメージ?
そこは迷ってて。従業員を雇うとなると、同じコンセプトを共有しないといけなくて、同じような経歴の人もなかなかいないから、人材育成が難しい。スタッフを雇うよりは、一人でやるのが向いてるような……。
そう? でも高校の時、バレー部のキャプテンやったやん。
あれも、向いてたかどうか、分からん(笑)
じゃあ一人でやりながら、もっと売り上げるなら、客単を上げるしかないか。
そうやね。俺が1人で見れる人数は1日8人がマックス。その単価、かける営業日数やからね。客単を上げるか、営業日数を増やすか、1日の営業時間を長くするか。イメージとしては、客単を少し上げて、ここの営業にかける時間を減らしたい。そうすることで、売上はキープしつつ、時間の余裕をつくって、それをオンラインセミナーとかオンラインサロンとかに充てたいっていうのがあるかな。
そういうのもやりたいんやね。それはつまり、一般向けのトレーニングのレクチャー、みたいな?
うん。あとはトレーナー向けも。最近はYOUTUBEとかもけっこうやってるよ。
うんうん。俺も見たよ。でも、トレーニング、いいよね。俺もめっちゃやりたいわ。この歳になると、どうしてもお腹が出るからさ。もう、めっちゃイヤやねん(笑)
でもアメヤンなら、やり始めたら、ちゃんとやるでしょ?
いや、それがほんまに続かへんねん。大阪にいたら、タケッチのところに通いたいわ、ほんまに(笑)。東京進出、待ってます!

(おわり)

SPEAKER’s Note

雨森武志
株式会社アイタイス 代表取締役

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実はタケッチのお店「LiteraMilita」があるのは、僕が若い頃に構えていた事務所から徒歩5秒くらいの場所。そういう意味でも、何か運命めいたものを感じていました。最近は、関西ローカルのテレビにも登場することが多いようで、見た目もかっこいいし、これからまだまだお客さんは増えるんじゃないでしょうか。本文でも書きましたが、東京にあったら、通いますね。だって、このお腹が……

武部紘一郎
パーソナルトレーニングジム LiteraMilita

久々に会ったのに久々じゃない。独特な笑い声、フットワークの軽さ。お腹以外はティーンのままのアメヤンがおりました。ペースに乗せられ色々喋ったけど、今の自分の立ち位置や考え方がはっきりしたよ。ちょこちょこ話を聞いてもらいに東京に行こうかな。ついでに動いてもらおうかな(笑)

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