アイタイスの一員になって早1年。街なかで新入社員らしき人たちを見かけて、去年の自分はどうだったか、少し振り返っていたのですが、まぁ、普通ではなかったですね(笑)。もうそろそろ“あの話”をしてもいいかなと思い立ち、筆を走らせています。それでは私の過去も含めて話していきましょう。
入社に隠された秘密とは……。
これまでも何度も登場した専門学校時代より、少しさかのぼってお話します。
私は地元・大分県でも有名な工業高校の建築科に入学をしました。女子なのに工業系の学校に入った理由は“勉強をしたくない”の一心(笑)
学科選びは消去法で決定しました。しかし、ここで私の才能は開花します。
授業の一環で参加した企業のコンペで入賞し、東京のとある大学から推薦をもらいました。
入学金や初期費用などが負担される、いわゆる特待生という素晴らしい条件。
でも、ちょっと待ってください。高校に入った理由はなんでしたっけ?
そう、“勉強をしたくない”でしたよね。
私は迷うことなく、「お断りします」と学科主任に言ったところ、呆れられました(笑)
ちなみに3年間、首席だったという自慢もあります(ドヤ)
学科代表で校長先生から卒業証書をいただいたのは、いい思い出ですね。
卒業後は、大分でテレビCMも流れているほど有名な、建設会社の設計部に入社。
朝から晩まで働き、趣味でやっていたジャズバンドの練習にも行っていました。
思い返せば、小さいころからクラシックバレエやピアノ、吹奏楽など音楽にまつわる習い事をたくさん経験していたんです。
ある日ふと、“夢ってなんだっけ”という思いが頭をよぎります。
そこで、白い紙にやりたいことや諦めていたこと、口に出せなかった感情などをひたすら書き出し、そして気づきました。
私は『大好きな音楽に関わるスタッフになりたい』ということに。
すぐに建設会社を退職し、上京する資金を貯めるためにいくつものバイトをかけ持ちしました!
アパレルショップにパン屋、保育園の調理補助、学童の指導員、さらにふぐの料亭の仲居まで。
その合間に家族には内緒で東京に行き、専門学校のオープンキャンパスに参加し、無事入学にいたったわけです。
学校の授業は、知らないことばかり。PAや照明、映像にレコーディングなどの技術系に加え、マネージャーの仕事やプロダクション・レーベルの仕組みなどを学ぶ関わる講座、著作権、音楽史……。
知識を詰めすぎて、はじめのころは頭がパンク状態でした。
でも「行動あるのみ」と思いたち、学校の授業だけでなく、自ら業界に飛び込んで、
バンドの物販スタッフやアイドルグループの運営、イベント制作、番組制作スタッフなど、いろんなことを経験します。
2年生になると、1年の時とは違った内容の授業も入ってきました。そう、これがライター講座です。
もちろん講師は我らが西村さん。ぶっちゃけると、最初はあまり心をひらいていませんでした(笑)。もともと私は、自分の話を誰かにするタイプではなく、どちらかというと相談にのることの方が多かったのです。
夏が過ぎた頃、就職活動がなかなかうまくいかず、嫌気がさしていた時期の授業の中で交わされた会話が、私の運命を変えます。
私「もう就活やめた〜い」
友人「早く決めてしまいたいよね」
西村さん「君たちなら絶対、大丈夫だと思うよ。頑張ってきたんだし」
私「あ〜。もう西村さんの会社で私を雇ってくださいよ」
友人「え、私も雇ってください!」
……。
その時は、何気なく言っただけ。しかし、また別の日に……
西村さん「田村、うちの会社に興味ある?」
私「正直、ライターの授業は楽しいですし、興味はあります」
西村さん「じゃあ今度、顔合わせも兼ねて、社長と食事でもしてみる?」
と言われました。
私「(え、社長とお食事? 緊張して絶対に話せない)」と思いましたが、それは現実になったんです。
さらに数日後の、学校にほど近い喫茶店。
目の前には見慣れた顔と初めての顔が。これが雨森さんとの出会いでした。
会社や仕事のことなどを、とてもわかりやすく話してくださったのですが、緊張しすぎて何のことやら。
でもわかったのは、私の知らない世界がまだまだあるということと、
授業でやっていることより、もっと深くやりがいのある仕事だということ。
「アイタイスについて、もっと知りたい」と素直に思っていました。
でもひとつ気になっていたことが。それは雨森さんの出身です。
私「(社長さんってハーフなのかな、でもバリバリの関西弁なんだよな)」という疑問ばかりが頭の中でぐるぐると……。
帰宅後も雨森さんのことが気になりつつ、
そのときに頼んだドリアがなかなか来なくて、急いで食べたときにできたやけどは、今でも忘れません(笑)。
まぁ、結局スッキリできず、次の授業で西村さんにこっそり聞いたんですけどね。
そして後日、五反田にあるアイタイスのオフィスにも伺って、
あらためて詳しく、勤務形態や実際の業務内容などを聞いたんです。
好印象でしかありませんでした。事務所、おしゃれだし。
しかし、実はこのとき、とある制作会社からも内定をいただいていました。
そこは私がやりたかったアーティストマネジメントができる会社です。
とはいえ、私の中でアイタイスもかなり気になっていました。
どちらの会社も私の答えを待ってくれるとのことで、悩む日々を送ることになります。
そして、卒業も近づいて来たタイミングのライター講座の日。
私にとっては、就職の決断をする大切な日でもありました。
私「先生、あの……、アイタイスさんをお断りします。すみません」
西村さん「そうか。田村はやっぱり、音楽の道へ進むんだね」
私「はい、それが目標でこの学校に入ったので。すみません」
西村さん「謝ることじゃないよ! 田村が選んだ答えなら応援するし、社長には俺から伝えるけど、田村からも連絡してあげて」
私「ありがとうございます」
雨森さんにメールを送ると、このように返ってきました。
さらに私は、こう続けます。
私「あと、これはお願いしにくいのですが……」
西村さん「なに? どうした⁉」
「もう1つの会社に『就職したい』というメールを送りたいのですが、その内容をチェックしてもらってもいいですか?」
はい。無神経ガール炸裂。でも私には頼れる大人が西村さんしかいなかったんです!
厚かましいのも承知の上で見てもらいました(笑)
すると私のメールの文章を見て、
西村さん「田村は、この会社に本当に就職したいんだよね? にも関わらず、このメールには『内定を受ける』という内容が入ってないから、先方も困っちゃうと思うよ」
私「もう少し考えてみます」
こんなやり取りをしたのを覚えています。
さらに月日は流れ、西村さん「ライター講座」最後の授業の日。
このとき私は、一度アイタイスを辞退したにも関わらず、どちらの企業に入社するか、まだ迷っていたんです。
やったことはないけど、人も仕事内容も、そして待遇もいい『アイタイス』か、
ずっとやりたかったマネジメントや制作はできるが、新規事業部を任せられるというプレッシャーがあった『もう1つの会社』か。ここまで来たら西村さんに相談してみよう! と変なスイッチが入り正直に話しました。
すると、西村さんは、私にこう言葉をかけてくれます。
「きっともう1つの会社は答えを焦っているわけではないと思うよ。もちろんうちの会社も。田村が本当に働きたいって決めたところに行くのがいいと思う。あと言っておきたいのは、アイタイスを断ったからって、俺や会社との関係が悪くなるとか、申し訳ないとかは思わなくていいからね。もう少し考えてみな」
なんで断ったのにこんなに優しくしてくれるんだろう……と不安だった気持ちが開放され、
涙をこらえるのに必死だったのはここだけの秘密にしておきましょう。
この日、西村さんがメールをくれました。
というわけで2度目の決断する日が訪れます。
五反田駅で西村さんと合流。美味しいお寿司やさんにランチに連れて行ってくれました。
その時は「絶対にまだ答えは言わないでね! このあとカフェに行くからそのときに聞かせて」と言われ、不思議に感じたのを覚えています。
そしてカフェへ移動。
「前にも言ったけど、断ったことによって関係が悪くなることはないからね」と、
さらに念を押す西村さんに対し、充分に間を溜めた後、「アイタイスさん……で働きたいです!」と伝えました。
すると「待って、めっちゃ嬉しい。ごめん、いますぐ社長にチャットしていい?」と見たことのない、
アタフタした様子で社長に連絡していました(笑)
てなわけで、私は自分からお願いしたにも関わらず、入社を1度お断りするという、かつてない失礼な新人なのです(笑)
ちなみにその日、私がまた「お断りします」という答えを出していたら、“五反田の路上で土下座までならしてもいい”と、雨森さんから司令もでていたとか(笑)
でも、入社を決めた決定的なポイントが1つありました。
それは『アイタイスのあたたかさ』です。
言ってしまえば学生の小娘にもこんなに優しく、なおかつ大きな手を広げて待ってくれるのは、どこを探してもここだけではないでしょうか。
いまなら西村さんのメールの中にあった、
“僕はいい会社だと思うけどね”という一文に心から共感できます。
第2新卒の就職先がアイタイスでたむはしあわせッス!